老後はいくら必要なのか

老後に必要となるお金は、一時期「2000万円」と言われたこともありました。しかしこれは「会社員だった夫と専業主婦だった妻」という夫婦がモデルとなる試算のため、全員に当てはまる数字ではありません。

また「2000万円」には、介護費用が含まれていないことにも注意が必要です。介護と聞くと遠い将来のことに思えますが、誰にでも可能性のあることです。筆者は以前、地方自治体で公務員をしていましたが、限度額の中でケアマネージャーとともに介護プランを考える中で「もう少し資金があれば」と言われる方が多かったです。

介護保険は介護を支える大切な制度である一方、そのサービスは「最低限」のものに限定されます。日常の食料の買い出しや食事作りはヘルパーさんに頼れても、「お正月に少し贅沢なものを食べたい」などは介護サービスの対象外なのです。

たとえ介護度が低くても、一度介護認定を受けると日常生活には制限が出てしまいます。そんなとき、自分のために使える資金があるかどうかは、老後のQOLに直結するでしょう。

「老後にいくら必要なのか」これは個々によって異なりますが、できれば豊かに暮らせるプラスαの資金を貯めておきたいところです。

お金は「育てる」時代に

人生100年時代の足音が聞こえるこんにち。老後資金の必要性はますます高まります。「老後は悠々自適に過ごしたい」と思っている場合は、早急な対策が必要かもしれません。厚生年金の加入の有無や、見込みの額によって対策は変わるでしょう。

目の前の貯蓄で精一杯でも、少しずつ準備を始めることが大切です。低金利の現代では、口座にただ眠らせておくだけではもったいないかもしれません。

貯蓄型の保険や資産運用などで、効率的にお金を育てることも視野に入れてみましょう。様々な情報収集は、いずれ強みになるものです。

参考資料

太田 彩子