この記事の読みどころ
- アイリッジ(3917)は東証マザーズに上場する“O2O(Online to Offline)”サービスに強みを持つインターネットサービス企業です。
- 同社が提供するスマホへのプッシュ通知サービス「popinfo」は、累計利用者数が2016年11月末で5,122万人に達するなど様々なアプリで利用されています。
- 中長期的には、O2O市場における同社のpopinfoの位置付けと決済などの周辺アプリへの展開が同社の業績を見通すうえでカギとなると思われます。
アイリッジはO2Oサービスに強みを持つインターネットサービス企業
アイリッジは東証マザーズに上場する“O2O(Online to Offline)”サービスに強みを持つインターネットサービス企業です。同社は2008年8月に同社は設立、2015年7月に東証マザーズに上場しています。
O2Oとは、インターネット上のウェブサイトやスマートフォン利用を通じて実際に(リアルの)店舗を訪れてもらい、集客や販売促進などを行うというマーケティングの専門用語です。
同社が提供するスマホへのプッシュ通知サービス「popinfo」は、累計利用者数が2016年11月末で5,122万人に達するなど様々なアプリで利用されています。
同サービスは、ファーストリテイリングのブランドである「ジーユー(GU)」、東急電鉄の「東急線アプリ」、ZOZOTOWON公式アプリ、および三菱UFJニコスや三菱東京UFJ銀行などに採用され、幅広く利用されています(同社サイトによる)。
同社の2016年7月期の売上高は12億3,000万円です。その中でO2O関連の売上高を見ると、内訳は24%が月額課金、76%がアプリ開発及びコンサル等となっています。2017年7月期の会社による売上高予想の内訳もほぼ同様の比率となっています。
popinfoを組み込んだアプリの利用ユーザー数は2014年7月期で1,376万人、2015年7月期で2,403万人、2016年7月期で4,500万人と順調に拡大しています。
2015年7月期の月額報酬の年間売上高は1億9,000万円、2016年7月期が2億9,500万円であることから、期中平均の利用ユーザー数を前提にすると、1人当たりの月額報酬は2015年7月期が年間約10円、2016年7月期が同8.5円となります。1人当たりの単価は下落していますが、普及数を拡大させることが必要と考えられます。
なお、2017年7月期の月額報酬について、同社は年間4億円を見込んでいます。ビジネスのサイクルとしては、フローとしてのアプリ開発をし、その後にストックとしての月額課金という流れが自然であろうことから、アプリ開発などの売上高増が注目されます。
また、同社はアプリ決済において外部と協業したり、ブロックチェーン技術を活用してスマホ向けアプリを提供しようとしており、FinTech(フィンテック、金融とテクノロジーをかけわせた造語)でも注目できる企業と言えます。
株価評価(バリュエーション)については、2017年7月期の会社による業績予想に基づく水準では、PERで90倍、PBRで約14倍と、絶対値では高水準にあります。EPSの成長は2017年7月期に+50%と、こちらも高い成長率を会社側は想定していますが、ポイントはこの利益成長率を維持できるかどうかです。
これまでのアプリ開発を継続して拡大できるか、またpopinfoの課金増を加速させ、単価ダウンをどこまで抑えられるかが重要となってくると考えられます。
本稿は「個人投資家のための金融経済メディアLongine(ロンジン)」の記事のダイジェスト版です。全文は以下からどうぞ(有料記事)。
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LIMO編集部