大学進学率が年々上昇しています。文部科学省が2021年12月に発表した「令和3年度学校基本調査(確定値)」によると、18歳人口の4年制大学の進学率は54.9%と過去最高を記録しました。
平成21年度の学校基本調査以降、4年制大学の進学率は50%台を超えています。全国平均ではあるものの、子どもの2人に1人は大学進学をしている時代になりました。つまり、子どものいる家庭では「大学進学」が特別なものではなくなってきており、極めて現実的な進路選択になってきているのです。
大学は文系、理系そして国公立と私立といった複数のパターンがあります。高校入学から大学卒業までにどれだけのお金がかかるのでしょうか。
高校での負担は軽減されてきているのか
文部科学省のデータが示すように、令和の今は全国的に「大学に行くのはほんの一握り」という時代は遠い昔の話になっています。
とは言っても、大学もそれ以前の高校も義務教育ではありません。子どもが進学する際は入学金など諸経費がかかりますし、教科書などの教材費購入もかかります。ただ、高校に関しては法改正もあり、以前に比べて公立私立ともに家計への負担が軽減されていると捉えられています。
しかし、全くお金がかからないわけではありません。
日本政策金融公庫が昨年10月14日から19日かけて64歳以下の男女、かつ、高校生以上の子供を持つ保護者(全国4700人)を対象としたインターネットによるアンケートを実施し公表した「令和3年度『教育費負担の実態調査結果』」によると、高校入学にかかる諸経費の平均額は35万円でした。
内訳は入学金は学校納付金の他、受験費用やそして入学を見送った高校への納付金が含まれています。入学試験の検定料は公立の場合は数千円程度ですが、私立は1万円から3万円が主流なため気軽に何校も受けられません。
高校への納付金も、第一志望の結果が出る前に他の学校をキープしておく必要があります。そのため初年度はなにかとかかり、高校1年の平均教育費用は110.6万円でした。その後、2年と3年は年間75.6万円かかり、トータル3年間で261.8万円という金額になりました。
アンケート対象者のうち、子どもが高校を既卒している場合や所得制限で無償化の恩恵を受けていない世帯(アンケート対象者の平均世帯年収868.3万円)も含まれていることを考慮しても、世間で騒がれる「高校無償化」とは程遠い状況です。