東大受験生が「偏差値」に強い興味を持ちにくい理由
東大入試をテーマにした「ドラゴン桜』を漫画やドラマで知っている方はすでにご存じかもしれませんが、東大入試の場合は大学入学共通テスト(旧センター試験)ではほとんど差がつかず、二次試験が最も重要になります。
大学入学共通テストの段階ではどの科類を目指すにしても「85%以上取れて当たり前」というのが今も昔も主流です。
一方、東大の二次試験はそのような「大学入学共通テストで8割以上取れる学生」に対して差をつけないといけないため、試験の難易度が大幅にアップし、長文記述主体の問題構成になっています。
事実、私自身が東大受験をしたとき(2006・2007年の2回)も、ほとんど二次試験対策に時間を使い、模試も各社の東大模試の結果しか参考にしていませんでした。
このあたりはZ会による資料「2018年8月実施 東大模試 成績結果の考え方」でも明確に示されています。
大学別の模試が作られるレベルの大学受験においては、模試の得点率……つまり、「二次試験で確実に合格ラインに入れるかどうか」が最も注視すべきポイントなのです。
したがって、単に「偏差値●●」というだけでは、その偏差値が出された母集団の情報が含まれていないため、実質何も言っていないこととほぼ同じとなるのです。
大学や高校といった、学校の偏差値についての言及は、「どの模試」の「どういう合否判定ライン」を基準にした値なのかという2つの情報が追加されることによってはじめて意味を持ちます。
とはいえ、数字の役割を知らずに、数字の大きさだけを見てありがたがるのがよくないというだけで、偏差値は「平均からの距離・偏り」を数字として示してくれる便利な指標です。
上手に付き合っていけると、数字から読み取れる情報を増やすことができます。
参考資料
當瀬 ななみ