東芝(6502)は2017年2月14日に2017年3月期の第3四半期累計(2016年4-12月)決算を発表予定であったが、監査手続きが終わらないため発表を3月14日に延期。決算発表の代わりに、今回は監査前の第3四半期累計および通期見通しを発表した。
原子力事業の多額の減損により、3年連続での最終損失を計上する見通しが発表されたが、リスクが高い海外原子力事業から撤退できるかが不透明であること、ランディスギア社の減損リスク、米LNG事業の損失発生リスクなども残り悪材料出尽くしの印象は全くない。よって、株価には「ネガティブ」な印象。
会社発表の見通しハイライト
第3四半期累計見通しは、営業損益が▲5,447億円の赤字(前年同期は▲2,319億円の赤字)、親会社株主に帰属する四半期純利益(以下、純利益)は▲4,999億円の赤字(同▲4,794億円の赤字)とされた。また、株主資本は▲1,912億円(2016年3月末3,289億円)、純資産は681億円(2016年3月末6,723億円)と危機的な見通しが示された。なお、第3四半期累計営業損益には、原子力ののれん減損▲7,125億円が含まれている。
一方、2017年3月期の通期見通しについては、営業損益が▲4,100億円の赤字(従来予想1,800億円)、純利益が▲3,900億円の赤字(同1,450億円)に下方修正された。また、半導体事業等の売却による資本対策を考慮しない前提での株主資本は▲1,500億円(同3,200億円)、純資産は1,100億円(従来予想なし)とされた。
ここに注目!
東芝の会見を経てなお残る疑問は以下の二点である。
- 今回、決算が延期原因となった「ウェスチングハウス社(以下、WEC)の内部統制の不備」が具体的にどのようなものか。
- 今回の説明会では、WECに対する東芝が有する親会社保証7,935億円に関して、「米国AP1000プロジェクトにおいてWECの客先への支払い義務(プロジェクトを完工できなかった場合の損害賠償請求を含む)を履行できなかった場合、当社はWECの親会社として客先にこれを支払うことが要求されている」という説明があったが、なぜ、このような東芝にとって不利な契約を結ばざるをえなかったのか。
混迷深まる東芝を見る上で、投信1編集部では、東芝に対して融資を継続している金融機関のスタンスに今後変化が起こらないかも注視。
LIMO編集部