「貯蓄ゼロ」を避けるために、今からできる処方箋
60代の貯蓄事情について、二人以上世帯と単身世帯に分けて眺めてきました。貯蓄ゼロの割合に衝撃を受けた方もいるでしょう。また格差が存在することも見逃せません。
60代といえば退職金がもらえる世代でもありますが、今回ご紹介したデータを見る限り、過度な期待はできそうにありません。現役時代から、老後を見据えた対策が必要になるでしょう。
現役時代から始められる有効な老後対策として、時間を味方につけた「資産運用」もあります。近年は利用する方も増えたので、身近で実践している人も多いでしょう。ただし、資産運用にはリスクやデメリットもあるため、「人気だから」と安易に始めるのはおすすめできません。しっかりと情報収集を行いましょう。
以下で、特に人気のある2つの金融商品をご紹介します。
1. つみたてNISA
つみたてNISAとは積立投資のことで、最大の特徴は「運用益が非課税になる」という点です。通常、投資で得た運用益には20.315%の税がかかりますが、年間40万円までの積立投資で出た運用益が、最大20年間非課税になります。
2. iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)
iDeCoとは、申込み、掛金の拠出、運用まで、すべて自分で行う私的年金制度です。つみたてNISAと同様に運用益が非課税になるだけでなく、掛金が所得控除となり、受取時にも控除対象になるため、「税金メリットが3回享受できる」とも言えます。
60歳まで引き出しできず、また掛金に上限があることは注意点として押さえましょう。
これらの制度は国が厳選した金融商品に絞られており、少額から始められる点からも、初心者でも始めやすいと言われます。もちろん上記以外にも、保険を使った備え方や積極的な投資など、選択肢は幅広くあります。リスクをしっかり踏まえながら、じっくり自分に合う方法を探してみてくださいね。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]令和2年(2020年)調査結果」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]令和2年(2020年)調査結果」
太田 彩子