なぜ一体化する必要があるのか

そもそも相続税と贈与税の一体化とはどういうことで、なぜ行う必要があるのでしょうか。

富裕層が保有している財産がそのまま子どもたちに移行してしまうと、富裕層はずっと富裕層のまま、貧困層にはお金が回らないままで格差が固定化してしまいます。それを回避するために、国が富裕層から相続税や贈与税という形で財産の一部を徴収し、貧困層にお金を回します。

しかし、現在の制度では相続税を減らすために、贈与税の非課税制度や暦年贈与などといった制度があります。これらは毎年、非課税枠内で贈与すると税金がかからない制度で、次の世代にできるだけ税金を払わずに資産を移行することができてしまうのです。贈与税と相続税が別体系となっているため、贈与税で非課税になれば相続税には影響しないので可能となります。

諸外国では、相続税と贈与税を一体化することで、贈与税で支払わなかった分は相続税で支払うことになり、保有している資産に対して漏れなく税金を徴収する制度ができており、日本もこれに倣おうとしています。