大塚家具、大幅赤字と中計取り下げで株価が急落

大塚家具(8186)の株価が急落しています。2017年2月13日の株価は対前営業日▲6%下落しました。

株価下落の理由は、2017年2月10日に発表した業績の厳しさと、現行の中期計画を取り下げたことにあります。この中期計画はまだ1年残っていましたが、従来設定した最終年度の目標達成が困難になったことがその要因です。

厳しかった2016年12月期

同社の業績を振り返りましょう。営業利益を見ると、2015年12月期に4億3,700万円の黒字を計上(黒字転換)し、2016年2月12日の時点では2017年12月期の営業利益を対前年度比+14%増の5億円の黒字と同社は想定していました。

しかし、2016年6月3日に売上不振などから▲15億4,900万円の赤字見通しへと下方修正、2016年8月5日には▲38億6,300万円の赤字見通しへと下方修正がなされました。そのうえ2016年12月期の着地は▲45億9,700万円となり、下方修正後の見通しも下回る結果となってしまいました。ちなみに、売上高は対前年度比▲20%減の463億円でした。約▲117億円の減収が利益不振の最大の要因です。

みなさんご承知の通り、同社は厳しい経営環境に対して手を打ってきました。ミドルレンジの品揃え強化、店舗と運営のリニューアル、顧客基盤の再構築、出店・提携、リユース市場の取り込みなどが上げられます。

しかし、業績回復には至りませんでした。オペレーション面での課題という内部要因も大きいのかもしれませんが、同社が狙ってきた中価格帯の市場を顕在化させることの難しさという外部要因こそ、業績不振の最大の背景ではないでしょうか。

財務的にはまだ余力も

2016年12月期は当期純利益も約▲46億円の赤字となりました。ただし、同社は自己資本比率が69%で借入がなく、現金等も減少したとはいえ約39億円あります。在庫や遊休資産、不採算資産などをうまく現金化させればまだ手を打つことが可能と期待することもできるでしょう。

2017年12月期の会社計画は、売上高が対前年度比+15%増の530億円、営業利益が黒字転換の5億円となっています。

新たな中期ビジョンは2017年3月上旬に公表へ。気になる定款の変更

現在のビジネスモデルが壁にぶつかったとすれば、中期計画を再策定し提示し直すことは良い判断です。新たな方向性は3月上旬をめどに公表すると同社は発表していますので、期待をして待ちたいと思います。

この内容のヒントとして気になるのは、3月の株主総会で付議されることとなった定款の一部変更です。特に文化施設、ホテル・旅館、高齢者住宅・施設、保育施設などの経営が明示されました。家具を中心にしたフローのビジネスから、インテリアを活かしたストック性のあるビジネスへ舵を切っていくのかもしれません。

新しい事業戦略がどのような展開になるのか、目が離せないのではないでしょうか。

 

LIMO編集部