資産作りのヒントとは
70代の貯蓄額を眺めてきましたが、平均だけではわからない「貯蓄格差」がわかりました。「3000万円以上」と「貯蓄ゼロ」がほぼ同数で、この2つだけで全体の約38%を占めます。
もちろん退職金の要素も大きいですが、現役時代からコツコツ貯蓄してきた人とそうでない人の差も現れているのでしょう。
現役世代が今後資産づくりをしていくなら、「老後の赤字額」を客観的に把握し、その赤字額プラスαを貯める決意が必要です。
まずはねんきん定期便やねんきんネットなどで、年金の見込み額を把握しましょう。受給額が減ることや、年金からも税や保険料が天引きされることを考慮し、少なめに見積もると安心です。
住宅事情や理想の介護も検討しながら目標貯蓄額を設定し、老後から逆算して月々の貯金額を算出しますが、その金額を毎月確実に確保できるかがポイントです。目先の住宅ローンや教育費が圧迫していると、貯蓄ペースはなかなかあがりません。かといって貯蓄できない月があると、他の月で挽回しないといけません。
苦しい目標設定値になりそうであれば、「資産運用」にまわしてみるのも1つです。つみたてNISAなどの少額投資を選んで、毎月の預貯金のように積み立てていくことで、運用益を得られるしくみです。運用益には税がかかります(銀行の利息にもかかります)が、つみたてNISAであれば非課税です。つまり運用益がそのままプラスになるので、お得に資産を作りたい人にとって心強い方法となるでしょう。
ただし、運用の成果によっては元本が減るリスクもゼロではありません。短期ではなく長期でコツコツ続けるものなので、日々の値動きに一喜一憂するのではなく、粘り強く持ち続ける姿勢が必要となります。
長期以外にも「分散」するなど、リスクを抑えるコツがあります。しっかりとした情報収集でリスクヘッジすることで、資産運用も資産づくりの選択肢としてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」
- 総務省統計局「家計調査(家計収支編―二人以上の世帯―2020年)」
- 公益財団法人生命保険文化センター「介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?」
太田 彩子