2021年の年末には、「子育て世帯への臨時特別給付金(18歳以下10万円給付)」の所得制限をめぐり、議論が巻き起こりました。
所得判定は児童手当の基準を参考にしますが、そもそも児童手当の所得制限が世帯所得ではなく、所得の多い方で判定することに疑問を持つ方が多かったようです。
例えば扶養親族3人(児童2人+年収103万円以下の配偶者)であれば、960万円が収入額の目安となり、これを超えると支給対象外。
夫婦どちらかの年収が1000万円を超えたら受け取れないが、それぞれが年収500万円であれば受け取れる。同程度の世帯年収で、公的補助に差が出るワケです。
いわゆる高収入のひとつの基準とされることも多い「年収1000万円」。この年収ゾーンの「ゆとりと負担感」について深掘りしていきます(※編集部注)。
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年収1000万円世帯の「負担感」
では、「年収1000万円世帯」の実際の収入事情を、「夫1人で稼ぐ世帯」と、「夫婦共働きで達成する世帯」の2つのパターンに分けて見ていきましょう。
ここでは「16歳未満の子どもが2人いる世帯」を例に、パターンごとにおおよその手取り額を出してみます。なお、社会保険料は年収の15%、住民税は所得の10%で計算し、千円未満は切捨てて計算します。
■夫・会社員(年収1000万円)+妻(専業主婦)+子ども2人(16歳未満)
1000万円-195万円(給与所得控除)=805万円
805万円-150万円(社会保険料控除)-48万円(基礎控除)-38万円(配偶者控除)=569万円(課税所得)
所得税:569万円×20%(税率)-42万7500円(控除額)=71万500円
住民税:569万円×10%=56万9000円(=住民税)
1000万円-150万円(社会保険料)-127万9500円(所得税と住民税)=722万500円
■夫婦で会社員(それぞれ年収500万円)+子ども2人(16歳未満)
500万円-144万円(給与所得控除)=356万円
356万円-48万円(基礎控除)-75万円(社会保険料控除)=233万円(課税所得)
所得税:233万円×10%(税率)-9万7500円(控除額)=13万5500円
住民税:233万円×10%(住民税)=23万3000円
500万円-75万円(社会保険料)-36万8500円(所得税と住民税)=388万1500円
388万1500円×2人=776万3000円
その差を比べると、共働き世帯の方が約54万円ほど手取りが多いことが分かりました。
とはいえ、片働きで年収1000万円では所得制限の対象となってしまう制度に、今回の子育て世帯への10万円相当の給付や児童手当があります。その制度を詳しく見ていきましょう。