経営の問題点(その2):財務の「インストラクター」の存在感が希薄だったのではないか

ふたつ目の問題は、財務をしっかりと管理するという意識が希薄だったのではという懸念です。

ライザップのフィットネスサービスは運動・食事管理をする厳しいインストラクターがいることで有名ですが、会社としては過去、先ほどの問題点その1で指摘したように、ファイナンス分野のプロのリーダーシップが足りていなかったのではとも思えるような急激な拡大でした。

未公開企業であれば経理畑の管理者でなんとなく通せるかもしれませんが、上場企業となると株式市場との対話やそれを前提としたファイナンス・企業価値向上施策が重要となってきます。したがって、ファイナンスのプロが不在だと様々な問題が生じます。

とりわけライザップは、2012年3月期以降のキャッシュ・フロー計算書の「財務活動によるキャッシュ・フロー」を見ていくと、負債を活用してレバレッジを効かせながらのM&Aを活発に行ってきた経緯があるのですが、この取り組みはハイリスクです。

RIZAPグループの財務活動によるキャッシュ・フロー(一部抜粋)

【出典】RIZAPグループ株式会社「決算短信」

安定収益が期待できるのであればレバレッジを効かせて資本効率を高めるのがセオリーです。

しかし、ライザップの場合は経営再建の必要性を抱えた問題ありの会社をハイレバレッジのもと買収するという、ハイリスクな戦略をとっていました。

結果、「ジェットコースター株価」のように不安定で荒い時価総額推移となってしまいました。