日本電信電話(9432)(以下、NTT)は2017年3月期の第3四半期累計(2016年4-12月期)決算を発表。足もとの業績は計画線だが、海外事業の立て直しに時間がかかりそうである。短期的には自社株買いの効果が期待できるが、中長期のストーリーは見直しへ。株価には「ややネガティブ」な印象。

決算ハイライト

第3四半期累計実績は、営業収益が対前年同期比▲2%減、営業利益が同+17%増、税引前四半期純利益が同+17%増、当社に帰属する四半期純利益(以下、純利益)が同+11%増だった。業績の進捗は市場コンセンサス対比で順調であり、自社株買いが引き続き予定されていることが株価のサポート要因となるだろう。

しかし、現在の中期経営戦略の柱の一つである海外事業に関しては、その中核であるディメンションデータ社の営業権の減損▲488億円を行った。従来、同社の建直しには一定の手ごたえがあると説明されてきたことから、今回の減損実行は事業環境の厳しさを際立たせる内容となった。

ここに注目!

ドコモの収益に対して当局から厳しい視線を浴びている中で、課題の海外事業の収益体質強化と全社的な利益底上げ、そして自社株買いを通じて、2018年3月期のEPS400円以上(2017年3月期会社予想376円)という目標をどう達成するか、どこまで上積みできるかに注目したい。

 

LIMO編集部