新型コロナや米国のインフレも心配ですが、今年の景気の最大のリスクは中国経済の急減速かも知れません(経済評論家 塚崎公義)。
景気は順調に回復中
新型コロナの流行が一段落し、緊急事態宣言も解除された事で、人々の経済活動は確実に回復しているようです。街中の人出も戻りつつありますし、12月の月例経済報告は「このところ持ち直しの動きがみられる」としています。
そして、12月の日銀短観は景気回復を印象付けるものとなっています。業況判断DIを見ると、これまで最も悲惨な目に遭って来た対個人サービスと宿泊・飲食サービスが顕著に回復しています。最も困っていた人が一息ついているというのは明るい話です。
製造業は、業況判断DIこそ前回(9月)から横ばいでしたが、今年度の利益の予想は大幅に改善していますし、製品需給の判断も改善しています。収益が改善し、製品需給の判断も明るくなれば、設備投資が増えると期待して良いでしょう。
筆者が注目しているのは、広範囲で労働力不足の深刻化(労働者から見れば事態の改善)が進展している事です。これが賃金上昇を通じて消費を拡大する事が望まれるわけですが、そうでなくとも雇用が拡大して労働者の所得が増えて消費が増える事は期待出来そうです。省力化投資も増えそうです。
このように、景気は回復しつつあり、今後についても景気回復の好循環が続くと期待される状況ですが、数多くのリスクも指摘されています。以下では新型コロナの第6波、米国のインフレと金融引締め、中国経済の急減速について考えてみましょう。