中国経済の急減速リスクには要注目
中国の不動産バブルが崩壊すると言われ初めてから10年以上経ちますが、あながちオオカミ少年とも言えないようです。中国では多くの不動産開発企業が資金繰りに問題を抱えているようなのです。
中国政府としては、こうした企業を救済したいけれども一方で不動産価格の高騰も抑え込まなければならず、難しい舵取りを迫られているようです。
もうひとつ筆者が気にしているのは、中国政府が経済発展よりも共産党体制の安定を重視するために打っている手が強引すぎるように見えることです。
仮に富裕層に重税を課して、税収を貧困層に配分して人心を掌握するというのであれば、実害は小さいでしょう。「重税を払った残りだけでも十分豊かになれるくらい稼げば良いのだ」と考えた人々が起業家精神を発揮するでしょうから。
しかし、ある日突然「お前のビジネスは中国共産党の安定を阻害しかねない」と言われて禁止されたり懲罰的な制裁を加えられたりするのでは、人々は萎縮してビジネスにチャレンジするインセンティブを失いかねません。
人々がリスクを恐れてビジネスに消極的になれば、経済が失速する可能性もあるでしょう。海外からの投資も萎縮して流出してしまうかも知れません。
中国経済がバブル崩壊やビジネスの萎縮などで急減速すれば、日本経済への悪影響は多大なものとなりかねません。もともと内需が弱い日本経済が、インバウンドも期待出来ない状況で、輸出を頼りにしているのに、最大の輸出相手国である中国の経済が急減速したのでは影響は深刻です。
新年早々に暗い話は嫌ですから、そうならない事を祈りながら筆を置くことにしましょう。
本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。
塚崎 公義