老後の不安を払拭するには、やはり貯蓄が一番と考える人は少なくないでしょう。その一方、高齢者雇用安定法とその改正により60歳の定年後も働く選択肢ができたことで、老後資金準備に関する考え方にも変化が出てきています。

とはいえ、定年後も働くとなると、健康であることが大前提になります。若い頃は多少無理をしても何ともなかったけれど、40代、50代と年齢が上がるにつれ、体力の衰えや健康の大切さを痛切に感じるようになったという人もいるのではないでしょうか。

厚生労働省の「2019年国民生活基礎調査の概況」では、体の不調や通院状況などの健康状態を調査しています。以下、その調査結果と、保健医療費に関する総務省の統計、高齢者医療費の自己負担率アップについて見ていきます。

体に不調を抱えている人はどのくらい?

「2019年国民生活基礎調査の概況」に示されている世帯員の健康状況によると、病気やけが等で自覚症状のある人(有訴者)は、は人口1000人当たり302.5(この割合を「有訴者率」という)でした。男女別に有訴者率を見ると、男性270.8、女性332.1で、女性の方が高くなっています。

年齢階級別では、「10~19歳」が最も低く、年齢階級が高くなるにしたがって上昇し、「65歳以上」で433.6、「75歳以上」で495.5、「80歳以上」では511.0となっています(図表1参照)。

症状別では、男性では「腰痛」での有訴者率が最も高く、次いで「肩こり」「鼻がつまる・鼻汁が出る」。女性では「肩こり」が最も高く、次いで「腰痛」「手足の関節が痛む」となっています。