何かと話題となった18歳以下への10万円相当給付。2021年12月10日に公表された山際内閣府特命担当大臣の記者会見要旨によると、市区町村に12月1日時点の準備状況を確認したところ、予備費で措置する中学生までの分については9割超が年内に支給開始予定とのことです。

今回の10万円給付で議論された一つに「所得制限」があります。年収960万円以下(扶養親族等が児童2人と年収103万円以下の配偶者の場合の目安)の所得制限が夫婦どちらかの年収になることに、さまざまな意見が挙がりました。

年収1000万円は多くの方が憧れるラインの一つと言えるでしょう。一方で今回のように1人で年収1000万円を達成すると給付の対象外になるケースもあります。

年収1000万円でも片働きと共働きでどう違うのか、その手取りなどお財布事情をみていきましょう。

片働きで「年収1000万円」の場合

まずは夫婦どちらかが年収1000万円のケースを考えてみましょう。

年収1000万円を達成する人は日本でどれくらいいるのでしょうか。国税庁が2021年9月29日に公表した「令和2年分(2020年)分 民間給与実態統計調査」より確認します。

出典:国税庁「令和2年分(2020年)分 民間給与実態統計調査」

「年収1000万円超 1500万円以下」は全体で3.4%(男性5.2%、女性0.7%)とかなり少数派です。それだけ年収1000万円を達成するのは難しく、努力がいるのでしょう。

では、「会社員の夫(年収1000万円)と専業主婦の妻、子ども(16歳未満)が2人の世帯」を例として、手取り収入を計算します。

1000万円-195万円(給与所得控除)=805万円
805万円-150万円(社会保険料控除)-48万円(基礎控除)-38万円(配偶者控除)=569万円(課税所得)
所得税:569万円×20%(税率)-42万7500円(控除額)=71万500円
住民税:569万円×10%=56万9000円(=住民税)

1000万円-150万円(社会保険料)-127万9500円(所得税と住民税)=722万500円

※社会保険料:年収の15%とする
※住民税:所得の10%とする
※千円未満:切捨て

片働きの手取り収入は722万500円ほどでした。

片働きで年収1000万円の場合、家族の人数や収入によっては「児童手当」の所得制限の対象となります。

児童手当は、中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している方に、「3歳未満一律1万5000円、3歳以上小学校修了前は1万円・第3子以降なら1万5000円、中学生は一律1万円」が支給される制度。

しかし、モデル世帯として「会社員の夫と専業主婦、子ども2人の家庭」の場合、年収960万以上が所得制限の対象となり、特例給付の「児童1人当たり月額一律5000円」となります。

また、「高等学校等就学支援金制度」も所得制限の対象となる場合があります。

たとえば両親のうち一方が働いている場合で、「子2人(高校生・中学生以下)※扶養控除対象者が1人の場合」は、年収約910万円が所得制限の目安となります(ただしこちらは共働きでも所得制限の対象となる場合があります)。

今回のように、18歳以下への10万円相当給付でも対象になりました。