みなさんは自分の親の貯蓄額を聞いたことはありますか。

昔から日本では、貯金やお給料など、お金の話をすることを「はしたない」などと考える風潮がありました。
それは、他人だけではなく、家族間でも同様のようです。

筆者はかつて証券会社に在職時、相続対策についてもアドバイスを行っておりました。

相続発生後に親御さんの資産額を知った方がほとんどで、遺された有価証券(株や投資信託)の扱いについて数多くのご相談を受けていました。

本来は、親が元気なうちに資産状況を共有しておくのがよいといえるでしょう。でも、なかなか聞きにくいものですね。

今回は、70代以上世帯のリアルな貯蓄額事情を解説し、親や自身の老後資金(※編集部注)について考えるきっかけになればと思います。

【※参考記事】【iDeCo】10年で資産残高1000万円を超えた人はどんな運用をしている?

70代以上の平均貯蓄額

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和2年(2020)調査結果」から、金融資産非保有世帯(貯蓄のない世帯)を含めたデータを参考にします。

70代以上の平均貯蓄額は1786万円、中央値は1000万円となっています。

「平均値」は一部の金額に引き上げられるため、ここでは小さい金額から並べて中央に位置する「中央値」がより参考になります。

では、金融資産保有金額ごとの割合を見てみましょう。

「THE老老格差」70代以上世帯の貯蓄事情

貯蓄のない世帯が約2割という現実

ここで注目したいのは、70代以上世帯の約2割が金融世帯非保有、つまり貯蓄ゼロであるということです。

「人生100年時代と言われている昨今、70代で貯蓄ゼロの世帯は、長生きしても年金の範囲内で慎ましく生活する必要がある、ということになります。

一方、同じく約2割の世帯は3000万円以上の貯蓄を保有しています。これが、「老老格差」の実態なのですね。