ヤフー株、Q2に続きQ3決算発表翌日にまた急騰
2017年2月6日、ヤフー(4689)の株価が急騰しました。一時ストップ高である541円をつけ、終り値は前日比+15%高の529円でした。同社は前営業日である2月3日の引け後に2017年3月期Q3累計決算(4-12月期)を発表していますが、この内容が好感されたと思われます。
実は、決算発表後に株価が急騰するのは今回だけではありません。同社がQ2累計決算を発表した翌日の2016年11月2日、株価は前日比+4%上昇しています。
とはいえ、今回は前回とは上昇率が異なります。時価総額が約3兆円の大型株が一気に突然ストップ高を付けるのは大変めずらしい現象です。少し詳しく背景を考えてみましょう。
相変わらず大幅減益決算。しかし実態は異なる
Q2累計決算もそうでしたが、Q3累計決算は大幅減益決算です。営業利益は対前年同期比▲22%減となっています。これだけを見るとストップ高につながるには材料不足と思われますが、(ご存じの方も多いでしょうが)一つからくりがあるのです。
そのからくりとは、前年度にアスクルの企業統合に関わる一時的な利益として約597億円が営業利益に計上されていたのです。これを除くと営業利益は同+12%増益となるのです 。
この特殊要因と関係のないQ3(10-12月期)を見ると、営業利益は同+20%増となりました 。つまり足元の利益成長率が高まっていることがストップ高の要因です。
利益成長の質も改善
利益の中身も良化しています。広告事業を中心とするマーケティングソリューション事業の営業利益はQ3(10-12月期)に同+11%増となりましたが、Eコマースを主とするコンシューマ事業は同+46%増となりました。金額的にもコンシューマ事業の利益の伸びが全社の利益成長を牽引しています。
アスクル、一休を含めたショッピング・オークションなどのeコマース国内流通総額はQ3に5,039億円となり、同+17%の伸びを示しています。
ヤフーのスマホにおける広告事業がしっかり根付いてきたうえ、戦略的に取り組んできたショッピングとクレジットカードの事業がようやく成果を出し始めた、このように市場が評価を高めているのではないでしょうか。
狙うはアマゾン? 楽天?
ヤフーのeコマース事業は、ようやく立ち上がってきたと評価できそうです。日本のEC市場の規模はまだ拡大の余地が大きく、しっかり便益を提供できればまだまだシェアを高めることができるでしょう。当然、アマゾンや楽天に追いつき追い越すことが期待されます。
しかし、ヤフーの経営陣やソフトバンクグループの孫社長は、ヤフーがアリババぐらい成功しないと満足しないのではないでしょうか。さらに革新的なサービスや事業者間連携がスピーディーに出てくるのか、今後の展開が注目されます。
椎名 則夫