「人生100年時代」が間近に迫る今。シニア世代が長く働き続けるための制度が整いつつあります。
一般的な年金受け取りスタート年齢は65歳(※編集部注)。いま働き盛りの現役世代の皆さんの中には、この年齢から先も、仕事を続けることを選ぶ人は増えていくでしょう。
60代以降も働き続ける理由は人それぞれ。仕事によって人生をより充実させるため、という方もいらっしゃるでしょう。長くなる老後に備え、「稼げるうちに稼ぎたい」と考える人も多いはず。
シニア世代、とりわけ65歳前後の過ごし方は今後も多様化が進むでしょう。今回は、65歳から先の「働く世代と無職世帯」の貯蓄事情を比較しながらみていきます。
【※参考記事】厚生年金「ひと月25万円以上」受給する人の割合は?
60歳以上の「働く世帯」と「無職世帯」の比率は?
まず、総務省統計局が公表する「家計調査報告(貯蓄・負債編)―2020年(令和2年)平均結果―(二人以上の世帯)」から、「無職世帯」と「働く世帯」の世帯数分布を確認します。
今回はシニア世帯を就業状況別に以下の3パターンに分けて考えます。「家計調査 用語の解説」による各区分の定義は以下の通りです。
① 「無職世帯」…世帯主が、無職である世帯。例えば、年金、恩給、仕送り金、保険取金、財産収入などにより家計を営んでいる世帯。
② 「勤労者世帯」…世帯主が会社、官公庁、学校、工場、商店などに勤めている世帯
③ 「無職世帯を除く勤労者以外の世帯」…世帯主が社長、取締役、理事など会社団体の役員である世帯
以上から、①の「無職世帯」と②、③を「働く世帯」として見てください。また、ここでは、高齢者(60歳以上の者)がいる世帯を1万としています。
世帯主が60歳以上:9168世帯
- 無職世帯:5775世帯(62.9%)
- 勤労者世帯:2173世帯
- 無職世帯を除く勤労者以外の世帯:1220世帯
世帯主が65歳以上:7446世帯
- 無職世帯:5473世帯(73.5%)
- 勤労者世帯:1026世帯
- 無職世帯を除く勤労者以外の世帯:947世帯
世帯主が70歳以上:5469世帯
- 無職世帯:4405世帯(80.5%)
- 有業世帯:1064世帯
世帯主が75歳以上:3220世帯
- 無職世帯:2838世帯(88.1%)
- 有業世帯:382世帯
無職世帯の増加率は、60歳以上の62.9%から年金開始年齢の65歳以上73.5%で、一番大きくなっていますね。