リスクオフに戻り、ドル安と日本株安が目立った1週間
先週(1月30日-2月3日)の世界の株式市場はリスクオフ色が戻り、総じて軟調でした。インド、インドネシアなどを除いて、概ね現地通貨ベースで下落しています。主要市場の週間騰落率は現地通貨ベースでTOPIXが▲2.2%、米S&P500が+0.1%、独DAXが▲1.4%、上海総合が▲0.6%でした。
先週もトランプ大統領の発言に市場は揺れました。特に中国、日本、ドイツなどの通貨政策への不満表明で、米ドルは英ポンドを除いてほぼ全面安になりました。具体的には、ドルはユーロに対して▲0.8%、円に対して▲2.1%など大きく下げています。
さらに、日米の金融政策が据え置かれる中で、米国の1月雇用統計が賃金上昇の加速を確認できず、米国の利上げペースアップ期待はひとまず後退しています。各国のマクロ指標も、1月の指標に景気の勢いの鈍化が示唆されています。この結果、日本を除いて主要国の長期金利は低下しています。ドル安、金利上昇期待の後退で金(ゴールド)をはじめとする貴金属もしっかりでした。
こうした中で主要企業の決算発表が進んでいます。米国については概ね堅調な決算だと思いますが、米株は横ばいで終わりました。一方、日本では収益改善期待が高まる傾向が見られましたが、円高の進行が嫌気され主要国では最も芳しくないパフォーマンスでした。世界的に見ると資源関連株の下落が目につく1週間でした。
アウトルック:再びトランプ大統領の一挙手一投足が注目の的に
今週(2017年2月6日-2月10日)は決算発表も峠を越え、主要国の金融政策も決まりましたので、再びトランプ大統領の政策に注目が集まりそうです。同時に、春節明け後の中国の経済・株価動向も注目です。
決算ではGM、ウォルト・ディズニー、ギリアド・サイエンシズ、リオ・ティント、トヨタ自動車、ソフトバンクグループなどの決算が予定されています。ただし、全体としては峠を越えていますので、市場はトランプ大統領の動きに最大の関心を払うでしょう。
その意味で、2月10日の日米首脳会談がどうなるのか、通貨や金融政策の方向性を見極める意味で大変重要です。逆に言えば、2月10日を終えるまで日本の金融政策の自由度を巡り神経質な展開が予想されます。
一方で、世界経済拡大の腰を折らないという建設的な方針が確認できれば、リスクオンに素早く戻ることも想定しておきたいところです。
また、マクロ指標では中国の1月の貿易収支に注目しておきたいと思います。
椎名 則夫