シニア世代が働き続けるしくみが整いつつあります。一方、年を重ねることで健康面での心細さも増えてくるはず。厚生労働省によると、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」である健康寿命は、男性72.14歳、女性74.79歳です(2016年時点※)。
さて、「人生100年時代」の足音が近づくこんにち。70代以降の貯蓄は、年金生活(※編集部注)を送る上での安心感に直結するものといってよいでしょう。
しかし現実をのぞくと、いまの70代シニア世帯の中には、「老後の資金がまったくない」という世帯も。
本日は、70代以上世帯の貯蓄状況に着目しつつ、証券会社でファイナンシャルアドバイザーとしてお客様の資産運用に携わってきた経験を踏まえて、FPの立場から心細い老後にならないための人生100年時代の老後準備についてお伝えしていきます。
【※参考記事】厚生年金「ひと月25万円以上」受給する人の割合は?
70歳以降の平均貯蓄額はいくら?
まず、70歳代以降の世帯にどのくらい貯蓄があるか、見ていきます。
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」によると、70歳以上世帯の貯蓄額は下記の通りです。
70歳以上・二人以上世帯「金融資産保有額」
(金融資産を保有していない世帯を含む)
- 平均:1786万円
- 中央値:1000万円
70代以上の貯蓄額は、平均1786万円・中央値1000万円という結果になりました。
平均は一部の大きな値(今回でいうと「お金持ち層」)に引き上げられる傾向があります。ここではより実態に近い「中央値」1000万円を参考していただくとよいでしょう。
2019年に「夫婦の老後には年金以外に2000万円が必要」などと話題になりました。もちろん、健康状態や年金以外の収入源には個人差がありますので「老後資金はいくらあれば大丈夫」という正解はないでしょう。
とはいえ、「70代の二人以上世帯」の貯蓄額としては、やや心もとないといった印象です。
70代の貯蓄事情について、もう少し詳しく見ていきます。