65歳以上「リタイヤ夫婦」みんなの貯蓄、平均と現実
ここからは総務省統計局のデータを元に65歳以上の「リタイヤ夫婦」世帯の貯蓄額を見ていきます。
「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2020年(令和2年)平均結果-(二人以上の世帯)」から、65歳以上・無職世帯の貯蓄額と、貯蓄額ごとの分布を見ていきます。
65歳以上・無職世帯(二人以上世帯)の現在貯蓄高
- 平均値:2324万円
- 中央値:1555万円
平均値は一部の「お金持ち」に引き上げられる傾向がありますので、ここではより実感に近い中央値をご参考になさるとよいでしょう。
貯蓄残高の保有額別の分布についても見ていきましょう。
世帯主が65歳以上の世帯の貯蓄現在高階級別世帯分布
(二人以上の世帯)
- 100万円未満:7.9%
- 100万~200万円:4.0%
- 200万~300万円:3.5%
- 300万~400万円:3.7%
- 400万~500万円:3.3%
- 500万~600万円:3.8%
- 600万~700万円:3.4%
- 700万~800万円:3.2%
- 800万~900万円:2.9%
- 900万~1000万円:2.5%
- 1000万~1200万円:5.7%
- 1200万~1400万円:4.5%
- 1400万~1600万円:4.5%
- 1600万~1800万円:3.1%
- 1800万~2000万円:3.3%
- 2000万~2500万円:8.3%
- 2500万~3000万円:6.4%
- 3000万~4000万円:8.7%
- 4000万円以上:17.3%
前述の介護費用も含めると、夫婦の老後資金のトータルは4000万円を超える(※)ことが考えられますね。
貯蓄額が4000万円を超える世帯は、65歳以上の世帯の17.3%です。この割合を多いと捉えるか少ないと捉えるかは人それぞれでしょう。
いずれにせよ、「標準的な世帯」が一朝一夕で準備できる金額ではないことは確かです。定年退職金で残高がいっきに増えたケースや、親族からの贈与や相続があったケースも一定数含まれている点も考慮する必要がありますね。
一方で、59.3%の世帯が「貯蓄2000万円未満」、さらにいうと200万円未満の層の割合が11.9%を占めている点も看過できないでしょう。
いわゆる「老老介護」に直面した場合の選択肢なども考えると、リタイヤ後を見据えた資金形成は、早い段階からコツコツと進めていけると理想的ですね。
(※)夫婦2人が、サービス付き高齢者向け住宅に、それぞれ5年間入居した場合を想定して単純計算。