シャープ(6753)は2017年3月期の第3四半期決算を発表。同社の親会社株主に帰属する四半期純利益(以下、純利益)は2015年3月期Q3(10-12月期)から赤字が続いていたが、実に9四半期ぶりの黒字転換となった。2017年3月期の通期会社予想も上方修正された。株価には「ポジティブ」な印象。
決算ハイライト
シャープの第3四半期累計(2016年4-12月)実績は、売上高が対前年同期比▲23%減、営業利益は189億円の黒字(前年同期は▲290億円の赤字)、純利益は▲412億円の赤字(同▲1,083億円の赤字)となった。
また、第3四半期(2016年10-12月期)実績は、売上高が同▲14%減ながら、営業利益は19億円の黒字(同▲38億円の赤字)、純利益が42億円の黒字(同▲247億円の赤字)。構造改革への取り組みやホンハイ(鴻海精密工業)との協業の成果が現れ採算性が大きく改善した。
第3四半期のセグメント営業利益は、ビジネスソリューション(複写機等)とエネルギーソリューション(ソーラー関連)が減益となったものの、それ以外の5セグメントは増益となった。特に、赤字が継続していたディスプレイデバイス(液晶パネル及び液晶テレビ)が生産稼働率の改善や物流コストの削減などにより黒字転換したことが注目される。
2017年3月期の通期会社予想については、売上高、利益とも上方修正された。利益面での修正要因はコストダウンや経費削減が主因とされ、売上拡大よりも、まずは収益体質の強化が優先されているという印象であり好感が持てる。
ここに注目
純利益の黒字化を達成した今、同社はは技術への積極投資、グローバルでのブランド強化、新規事業の加速により成長に向けた反転攻勢に出る考えであるが、この目標の実現のカギとなるのがホンハイ流のスピード経営。これをシャープ内に定着させることができるか、投信1編集部では注目している。
LIMO編集部