年金額を増やす「2つのポイント」
ここからは、年金額を増やすポイントを、2つに絞ってお伝えします。「年金の繰り下げ」と「自助努力によるカバー」という2つの視点です。
*その1「繰下げ受給」
「年金の繰下げ」は、年金受給のスタート年齢(本来65歳)を遅らせることで受給額を増やすしくみです。
2021年12月現在は70歳まで繰下げが可能です。制度改正にともない、2022年4月1以降に70歳に到達する人からは、75歳までの繰下げが可能となります。
増額率は1カ月遅らせるごとに0.7%上がります。70歳で受け取る場合は42%増額、75歳受け取りであれば84%増額できます。
基礎年金+厚生年金が10万円の場合、70歳まで繰下げると14万2000円、75歳まで繰下げると18万4000円となるイメージですね。
増額率だけに着目するとかなり「お得」な繰下げ受給ですが、デメリットについても把握しておく必要があります。
まず、受給開始までの生活費は、年金以外の収入や資産でカバーしていく必要があります。さらに、年金が増えることで税金が上がる、「加給年金」の支給に影響が及ぶ可能性があることなど、デメリットも把握しておく必要があります。
*その2「自助努力によるカバー」
次に挙げるのは「自助努力」、つまり自分で工夫して老後資金を作っていく作業です。
公的年金の不足分をカバーするために、iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)や個人年金保険などの活用を検討してもよいでしょう。
iDeCoは「自分でお金を出し、自分で運用商品(定期預金・保険商品・投資信託)を選ぶ」しくみです。
掛金は全額所得控除となり、運用期間中の運用益は非課税です。年金として受け取る際には公的年金等控除があります。税金面でのメリットを受けながら老後資金を積立てていくことができます。
ただし、原則60歳まで、脱退や資金の引き出しができない点などには注意が必要です。
変額保険は「投資信託+保障」がセットになったものと表現するとイメージしやすいでしょう。保障を備えながら資産づくりができるものです。満期に一時金として受取る際には一時所得として計算されます。
※一時所得は50万円までの特別控除額があります。満期保険金から払込保険料の差が50万円以内であれば、税金はかかりません。
iDeCoの運用商品・変額保険ともに、ご自身のリスク許容度(※)に応じたものを選んでいきましょう。
(※)資産やご家族の状況、そしてご自身の性格などによって、どの程度のリスクであれば受け入れられそうかが変わります。これを「リスクの許容度」と呼び、金融商品を選ぶ基準として大切になります。