30~60代の単身世帯、貯蓄額はいくらか
年金の不足分を支えてくれるのが貯蓄です。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和2年)」から、単身世帯の貯蓄額を確認しましょう。年代別の貯蓄額は以下の通り。
【年代別】単身世帯の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
年代:平均・中央値
- 30代:327万円・70万円
- 40代:666万円・40万円
- 50代:924万円・30万円
- 60代:1305万円・300万円
平均は一部の大きな数字に引っ張られやすい傾向にあります。そのため、より実態に近いのは中央値でしょう。
貯蓄額の中央値をみると、30~50代では100万円以下。想像していたよりも少ない印象です。60代で貯蓄額が増えるのは退職金の影響もあるでしょう。
ではより詳しく、老後資金を使い始める60代・単身世帯の金融資産保有額の分布を見てみましょう。
60代・単身世帯の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
- 金融資産非保有:29.4%
- 100万円未満:9.1%
- 100~200万円未満:5.0%
- 200~300万円未満:3.3%
- 300~400万円未満:4.8%
- 400~500万円未満:2.9%
- 500~700万円未満:5.3%
- 700~1000万円未満:5.2%
- 1000~1500万円未満:7.2%
- 1500~2000万円未満:4.5%
- 2000~3000万円未満:6.7%
- 3000万円以上:13.8%
- 無回答:2.8%
60代・単身世帯のおよそ3割が金融資産非保有、つまり貯蓄ゼロ世帯です。次に多い順に「3000万円以上」「100万円未満」「1000~1500万円未満」。ここから、貯蓄事情は二極化していることが伺えます。
先ほどの年金月額は、未婚のおひとりさまで約12万、離別で約8万円でした。年金のみでは生活できないので、日々の赤字を補う貯蓄は一定額必要です。できるだけ早いうちから、老後に備えて貯蓄を準備したいところです。
老後資金を考える際、貯蓄額を大きく左右するのが日々の赤字の他に「住まい」と「介護」費用です。おひとりさまは賃貸に住む方も多いので、老後の家賃分の貯蓄を用意する必要があるでしょう。
また、それとは別に介護費用も必要です。一般的に介護費用は1人あたり1000~2000万円ほど必要と言われているので、その分上乗せして準備すると安心でしょう。
ただ、貯蓄の中央値から見ても分かる通り、簡単なことではありません。貯蓄を増やすにはある程度収入が必要ですが、特に女性は収入面でも厳しいところがあります。