今からできることをコツコツ始めよう
おひとりさまの女性の年金や貯蓄、収入の現実を眺めてきました。厳しい現実もありますが、その不安を減らすためにも対策はできるだけ早いうちから始めるといいでしょう。
一般的に男性に比べて収入が少ない傾向にある女性の場合、「働き方、節約、年金、貯蓄」などそれぞれ工夫をする必要があります。
たとえば「働き方」について、収入を増やすためにはスキルアップや転職、また副業などが考えられるでしょう。2022年10月には、パートの方の社会保険加入の適用が拡大されます。厚生年金に加入して、将来の年金額を増やすのも一つです。
パートの方の社会保険への加入は賛否両論があります。ただお子さんをお持ちの女性の場合、病休期間中に給与の3分の2相当が支給される「傷病手当金」が給付されるようになったり、障害年金や遺族年金が上乗せされたりといった、収入以外のメリットもあります。総合的に判断されると良いでしょう。
「貯蓄」については、低金利が続く現代において、預貯金のみで老後資金を準備するのでは間に合わないでしょう。つみたてNISAやiDecoといった非課税制度を活用しながら、自分だけでなくお金に働いてもらって貯蓄を増やす方法も検討しましょう。
たとえばつみたてNISAは、投資信託等に分散して、毎月コツコツと長期間積み立てていくもの。通常は運用益に対してかかる20.315%の税金が、毎年40万円、最長20年間非課税になる制度です(非課税投資枠は最大800万円)。リスクはあるものの、分散して長期間積み立てることである程度リスクを抑えられるでしょう。
また、老後の住まいや車の保有などについても、早めに考えておきたいところです。賃貸であれば、その分の貯蓄を増やす工夫を考えましょう。
厳しい現実はあるものの、いつでも今からできることをコツコツとやるしかありません。自分は何に向いていて、何ができるのか、年末年始など長期休暇に考えながら一つ一つ始めてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省「令和3年版厚生労働白書-新型コロナウイルス感染症と社会保障-(本文)」
- 国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集 2021年版」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和2年)」
- 国税庁「令和2年分(2020年)分民間給与実態統計調査」
- 厚生労働省年金局数理課「公的年金受給者に関する分析 ー配偶者の状況と現役時代の経歴(就労状況)からみた 年金受給状況ー」
- 厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」
宮野 茉莉子