ちかごろFIREという言葉を頻繁に見聞きするようになりましたね。

FIRE(Financial Independence, Retire Early)とは、「経済的自立と早期リタイア」を意味する略語です。

さて、このFIREを実現するためにはどのくらいの資金が必要でしょうか。その目安としてしばしば紹介されるのが「年間支出の25倍の資産を、年利4%で運用」というルールです。

つまり、いまの年間支出が400万円ならば、資産は1億円必要ということ。その1億円を年利4%で運用できた場合、年間400万円の運用益が出るというロジックです。

FIREに踏み切れた場合でも、想定外の出費が発生する可能性は考慮しておく必要がありそうです。また、老後の生活費をどのように抑えていくか、「4%運用」が継続できるか、といった問題も生じるでしょう。

いずれにせよ、FIREは誰しもが実現できるほど簡単なものではないはず。やはり60代まで働いて、老後の年金生活に入るという選択肢のほうが現実的なのかもしれません。

では老後の暮らしにはどのくらいお金がかかりそうでしょうか。生命保険文化センターの意識調査によると、夫婦の老後に必要となる「最低日常生活費」の平均は、ひと月22万1000円。最も回答が多かったのが「20~25万円未満(29.4%)」でした。

では、ひとりでこの生活費をカバーできる年金を受け取る人は、どのくらいいるのでしょうか。今回は、民間企業の会社員が受け取る厚生年金の月額(※編集部注)について深掘りし、ひとりで「25万円以上」受給している人の割合なども見ていきます。

【※参考記事】厚生年金「いくらもらえそう?」給与から目安が分かる早見表

厚生年金「受給額の平均」は、いくら?

まずは、厚生年金の平均受給額を見ていきましょう。厚生労働省年金局が公表した「令和元年度 厚生年金・国民年金事業年報」を参考にします。

厚生年金保険(第1号):平均年金月額

男女平均額:14万4268円

  • 男子平均:16万4770円
  • 女子平均:10万3159円

平均額だけで見ると、「25万円」までの距離はかなりありますね。女性平均で見ると約10万円。半分にも満たない結果となっています。