そうだとすると、一度カルテルが崩れて価格が下落を始めると、それがさらなる生産・販売の増加を通じて、いっそう価格を下落させかねません。それを見越した投機家の売りが価格下落を促進する可能性もあるでしょう。

経済学用語で言えば、供給曲線が右下がり(値段が下がると売り注文が増える)になっているため、需要曲線と供給曲線の交点である価格が、供給曲線のシフトによって「逃げ水」のように遠くへ行ってしまうということでしょうか。

投機家以外の「投機」にも要注目

価格高騰が予想される時には、投機家は原油(実際には先物でしょうが)を先回りして買うので、価格が下落し始めると買ってあった原油を売りに出すはずです。それが価格をいっそう下げる効果を持つかもしれません。

ここで注目すべきなのは、一般人も投機家と同様のことをしているかもしれないということです。石油会社も石油を使う企業もガソリンを使う個人も、価格上昇を見越して多めに在庫を持っているかもしれませんから。

そうした人々は、原油価格が下落を始めると多めに持っている必要がなくなるので、しばらく原油を買わなくなるでしょう。つまり、需要が落ち込むのです。

もっとも、これについては「高いから購入量を絞って在庫を減らしている」という主体が多いかもしれません。その場合には、値下がりが需要を増やすかもしれないので、そこは何とも言い難いところですが。