特定の飼い主がいない猫に去勢手術をほどこし、終生を地域で見守る「地域猫」活動。この活動に対しては、さまざまな意見があるようです。地域には色々な意見をお持ちの方がいるため、意見を調整しながら進めていく必要があります。
本記事では、猫に関連する数値データを見ながら検証しました。

猫の殺処分数・譲渡数推移

野良猫は「特定の飼い主が居ない猫」のため、総数はデータとして把握が難しいです。
今回は視点を変えて「ペットとして飼われている猫の数」「殺処分または譲渡された猫の数」の推移を通して検討してみます。

まず、ペットとして飼われている猫の数は、一般社団法人ペットフード協会「全国犬猫飼育実態調査」によると、下記のとおりです。

  • 2016年:930万9千頭
  • 2017年:952万6千頭
  • 2018年:964万9千頭
  • 2019年:977万8千頭
  • 2020年:964万4千頭

そして、環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」によると、全国の猫の直近5年での殺処分数は下記の通りです。年を追うごとに減っていることがお分かりいただけるでしょう。

  • 2016年:6万7000頭
  • 2017年:4万6000頭
  • 2018年:3万5000頭
  • 2019年:3万1000頭
  • 2020年:2万7000頭

続いて、同資料から猫の譲渡数推移を確認します。譲渡数は横ばい傾向です。

  • 2016年:2万3000頭
  • 2017年:2万6900頭
  • 2018年:2万7000頭
  • 2019年:2万5600頭
  • 2020年:2万5900頭

このようにしてみると、殺処分されてしまうのは残念とはいえ、ペットとして飼われている個体が964万4000頭いるのと比べると、前提として保健所に収容されるのはごくわずかでした。また、猫の殺処分数は平成元年度(32万8000頭)をピークとして一貫して減少傾向にあります。殺処分に至る猫の数は年々減り、現状の延長線上でも改善に向かっていることは認識したほうがよいです。

そして、保健所に収容された猫のうち、譲渡されたものは2万5900頭いて、残念ながら殺処分された猫が2万7000頭いるので、保健所に収容された猫の半数は再びペットとして飼われていることになります。

なお、2020年に殺処分された2万7000頭の猫のうち幼齢個体は1万8000頭おり、67%ほどが「子猫」です。今後も、継続して殺処分数を減らすには、「新しく生まれる野良猫を減らす」のが重要なポイントでしょう。