2021年11月10日、自民・公明両党が18歳以下に10万円相当の現金・クーポンを給付する支援策で、年収960万円以下の所得制限を設けることで合意したと各種メディアで報じられました。年収960万円の所得制限は、児童手当の仕組みを活用するとも報じられています。

今回の給付だけでなく、児童手当でも所得制限の対象となる「年収960万円」。収入などの要件によっては「高等学校等就学支援金制度」でも所得制限の対象です。同じ子育て世帯でも、高所得世帯では恩恵を受けにくいことが浮き彫りとなりました。

今回の給付の所得制限は世帯年収ではなく、夫婦どちらか所得が多い方の年収となる予定だと報じられています。同じように所得制限の対象となる児童手当の制度を改めて確認しながら、乳幼児から大学生までの子どもの育児・教育費用についてもみていきましょう。

児童手当の所得制限。来秋、年収1200万円以上は手当廃止へ

今回の10万円相当給付の所得制限の参考となった「児童手当」。その制度について、改めて確認していきます。

児童手当は中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している方にむけて、以下の金額が支給されます。

児童手当の月額

  • 3歳未満:一律1万5000円
  • 3歳以上小学校終了前:1万円(第3子以降は1万5000円)
  • 中学生:一律1万円

ただし所得制限があり、児童を養育している方の所得が以下の金額以上の場合、特例給付で「児童1人当たり月額一律5000円」となります。

【児童手当の所得制限】扶養親族等:所得制限限度額・収入額の目安

  • 0人(前年末に児童が生まれていない場合等):622万円・833.3万円
  • 1人(児童1人の場合等):660万円・875.6万円
  • 2人(児童1人 + 年収103万円以下の配偶者の場合等):698万円・917.8万円
  • 3人(児童2人 + 年収103万円以下の配偶者の場合等):736万円・960万円
  • 4人(児童3人 + 年収103万円以下の配偶者の場合等):774万円・1002万円
  • 5人(児童4人 + 年収103万円以下の配偶者の場合等):812万円・1040万円

モデル世帯となる「夫と専業主婦、子ども2人の家庭」では、年収960万円が所得制限の対象です。

さらに2021年5月21日には、夫婦どちらかが年収1200万円以上の場合、2022年10月分から手当が廃止される「改正児童手当関連法」が成立しました。

児童手当、そして今回の給付のように、所得制限は世帯年収ではなく、夫婦どちらかの年収が高い方になります。つまり、共働きで夫婦ともに年収500万円、世帯年収で1000万円の場合には対象になりません。

世帯年収ではなく、世帯主の年収であることに今回もさまざまな声が上がっています。