2020年度から小学校で、中学校は2021年度から新学習指導要領がスタート。来年度からは高校でも新しい学習指導要領が始まります。この新指導要綱に反映されている文部科学省の方針の一つが、思考力や表現力を伸ばすことです。

今は学校の授業で自分の考えや調べたことを発表する機会が増えており、小学校高学年では質疑応答もあるなどプレゼンテーションに似た内容になります。文章力や語彙(ごい)力、自分の考えをしっかりと伝えられることは社会に出てからも必要かつ重要なスキルですが、こうした能力を伸ばすのに役立つのが読書です。

読書は語彙を増やし、さまざまな表現を学べ、作者の意図を読み取る力なども向上させます。いつの時代も子どもや若者の活字離れが危惧されるものですが、高校生などを対象とした調査によると、現実はそこまで悲観的なものではないようです。ただし、詳しく見ていくと課題も見えてきます。

読書好きは意外と多い? ただし二極化も

日本財団が2020年に実施した、18歳意識調査「第30回–読む・書く–」では、意外にも「読書が好き」な割合は6割近いことが示されています。

調査対象は全国の17歳~19歳の男女1000人で、媒体は紙だけでなく電子書籍も含まれるなど時代を反映。ジャンルは雑誌を除く小説やノンフィクション、政治経済やテクノロジー、エッセイ、ライトノベルから漫画と多岐にわたっています。

この条件で「読書は好きか」という質問に対し、59.7%が「好き」と答えました。

通常の書籍だけだと約6割も「好き」とは答えなかったかもしれませんが、日本の漫画は単なる娯楽の範疇(はんちゅう)を超えて、学習要素の強い作品もあります。そのため、日本財団が漫画も対象に入れたことは妥当と言えるのではないでしょうか。