金融引き締めは、金利を引き上げることで企業の利払い額を増やし、企業収益を抑制します。一方で、投資家としては株を買って配当を受け取るよりも銀行に預金して金利を受け取った方が有利になるかもしれません。また、金融引き締めで世の中に出回る資金が減れば、株式投資に回ってくる資金も減るかもしれません。
しかし、そんなことより何より、美人投票の世界ですから、投資家たちが「金融引き締めは株価にマイナスだ」と考えていること自体が株価を押し下げるわけです。これは、もう宗教的信念と言っても良いでしょうから、間違いなく株価を押し下げる力として強力に作用するはずです(笑)。
株価が景気を動かす力は限定的
冒頭、株価が景気を動かす力は強くないと記しました。株価が上昇しても、それが消費に回る部分はわずかだからです。金持ちは株価が上がって儲かっても、それで消費を増やすということはないでしょう。
庶民は、そもそも株をあまり持っていませんし、値上がりして儲かったとしても贅沢をするよりも老後資金として溜め込んでしまう部分の方が大きいでしょう。特に、日本の庶民はあまり株を持っていませんし、将来を悲観して老後のために貯金したがる人が多いですから。
実際、アベノミクスで大幅に株価が上昇した時も、それほど消費は盛り上がりませんでした。プレミアムモルツが話題となったことくらいしか筆者の記憶に残っていませんから(笑)。
本稿は以上ですが、当然のことながら投資は自己責任でお願いします。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。
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塚崎 公義