「人生100年時代」が近づく今、将来の収入のメインとなるのは年金です。

年金には、国民年金(基礎年金)と厚生年金があります。国民年金は20歳以上60歳未満の方が基本的に加入する年金で、自営業やフリーランスの方が該当します。一方で、会社員や公務員などが加入するのが厚生年金です。

国民年金は年収に関わらず、対象者一律の金額を20~60歳までの40年間支払えば、令和3年度の場合は満額年78万900円(月額6万5075円)が受け取れます。

厚生年金は、年収が大きく影響します。それゆえ個人差が大きいですが、今のシニア世代の現役時代の経歴別による平均受給額は、どのくらい差があるのでしょうか。

大手都市銀行に17年勤務し、個人の資産運用に携わってきた筆者が、今回はこの厚生年金にアプローチしていきます。

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経歴別!年金の平均受給額はどのくらい違う?

厚生労働省年金局数理課「公的年金受給者に関する分析(平成29年12月調査)」を参照に、さっそくみていきましょう。

【現役時代の経歴類型別 公的年金額の分布(65歳以上)】

65歳以上計・平均年金月額:12.3万円

  • 正社員中心:16.6万円
  • 常勤パート中心:9.0万円
  • アルバイト中心:8.1万円
  • 自営業中心:8.2万円
  • 仕事をしていない期間中心:9.1万円
  • 中間的な経歴:9.2万円

※正社員中心:20歳~60歳迄の40年間のうち20年超正社員
※「中間的な経歴」とはいずれの職業も20年以下であったもの

一番年金額が多い正社員中心と、アルバイト中心とでは、受給額に2倍以上の差があります。

男女別でみるとどうでしょうか。

【老齢年金受給者の現役時代の経歴類型(性・年齢階級別)】

【男性】
65歳以上計:15.9万円(正社員中心68.8%、常勤パート中心1.8%、自営業17.0%等)

  • 65~69歳:15.3万円(正社員中心76.4%、常勤パート中心2.2%、自営業13.2%等)
  • 70~74歳:15.3万円(正社員中心71.7%、常勤パート中心1.9%、自営業15.5%等)
  • 75~79歳:16.2万円(正社員中心68.1%、常勤パート中心1.5%、自営業17.6%等)
  • 80~84歳:17.1万円(正社員中心61.0%、常勤パート中心1.4%、自営業20.1%等)
  • 85~89歳:17.0万円(正社員中心55.5%、常勤パート中心1.3%、自営業23.7%等)
  • 90歳以上:16.7万円(正社員中心49.6%、常勤パート中心0.9%、自営業30.4%等)

【女性】
65歳以上計:9.6万円(正社員中心22.0%、常勤パート中心15.4%、自営業16.5%等)

  • 65~69歳:8.7万円(正社員中心26.4%、常勤パート中心23.3%、自営業11.8%等)
  • 70~74歳:9.0万円(正社員中心24.3%、常勤パート中心19.2%、自営業14.2%等)
  • 75~79歳:9.6万円(正社員中心22.1%、常勤パート中心13.6%、自営業15.8%等)
  • 80~84歳:10.5万円(正社員中心20.6%、常勤パート中心10.5%、自営業16.6%等)
  • 85~89歳:10.8万円(正社員中心16.9%、常勤パート中心7.3%、自営業23.6%等)
  • 90歳以上:10.3万円(正社員中心11.3%、常勤パート中心5.6%、自営業29.8%等)

男女とも年齢が上がるにつれ、自営業の割合が高くなっていきます。男女差については、65歳以上計でみると、女性正社員中心の割合は男性の1/3以下にとどまります。