景気拡大は企業業績を改善するが、増益率は回復初期がもっとも高く、次第に低下していく、と筆者(塚崎公義)は考えています。

景気が良い時は企業が儲かるのが基本

景気が良い時は、物(財およびサービス、以下同様)が売れますから、企業が儲かるのが基本です。景気という統計はありませんが、景気が良い時には物がよく売れ、企業が儲かり、企業の生産量が増え、企業の雇用が増え、失業者が減るのが普通ですから。

不況期には企業は儲かりませんが、景気が回復してくると利益が増えてきます。景気のピークで利益は最大となり、その後は景気の後退に伴って利益は減っていくというのが普通です。

もっとも、景気のピーク付近が増益率が最も高いといったことではないですし、景気のピークやボトムと利益の最大最小とは多少タイミングがズレるかもしれませんので、注意が必要です。

増益率は景気の谷直後が最大に

景気のボトムでは、企業の利益は非常に小さいので、景気が回復を始めて利益が増え始めると、増益率は非常に大きなものになりやすいでしょう。割り算の分母が小さいわけですから。

加えて、増益額も結構大きいかもしれません。売り上げ増加が(材料費を除いて)そのまま利益の増加に貢献するからです。

不況期には、労働者がヒマにしているので、売り上げが増えて企業が増産しても労働者の尻を叩くだけで済みますし、設備稼働率も低いので増産しても稼働率を上げるだけで済みます。つまり、増産しても材料費以外は増えないのです。

以下で記すように、景気の谷付近では、借入金利等が減っていく場合もあり、それも高い増益率の一因となり得るわけですね。