トランプ政権の発足で不確実性高まる?
2017年1月20日、いよいよ米トランプ政権が発足しました。雇用の一層の拡大、保護主義的な通商政策、貿易不均衡の是正に力を入れていくとみられます。法人税の減税も期待されています。
これまで米国企業は、自由貿易の恩恵を最大限に活かし、世界最適地生産を進めて収益を上げてきましたが、そのパラダイムは地産地消型へと真逆の方向に大きく変わろうとしています。現時点では政策パッケージの全体像は見えにくく、金利、為替、企業業績と株価にも不確実性が高まっていると思われます。
不確実なときは、大きなテーマを再認識したい
投資をする立場にたつと、今後の経済の行方に不透明感が出ている時は投資のチャンスも増えていると考えて良いのではないでしょうか。政策の枠組みが大きく変わろうとしている時は、不確実な目先の材料から距離を取り、中長期の投資テーマを見直してみるのが良いでしょう。
例えば、米国の大統領が誰であっても高齢化問題は避けて通れません。自動車の自動運転技術も後戻りはありませんし、ビッグデータ、人工知能(AI)、フィンテックなどの新しい潮流も進化を続けるはずです。
ロボット関連株はいま有望テーマ!?
ロボット関連株もこうしたテーマのひとつだと思います。確かにトランプ大統領はロボットよりヒトを優先しているように見えますので、ロボット関連というテーマは一見不人気テーマに映るかもしれません。
では、例えばメキシコを諦めて米国内で能力増強をはかる自動車メーカーの生産ラインが、従来より人手に頼るものになると想像できるでしょうか。台湾の大手EMSが米国に大型投資をするとき、自動化投資を怠るでしょうか。グーグルやアマゾンの進化が止まるでしょうか。
後に見ていきますが、ロボット関連株の投信に組み入れられている銘柄を眺めると、設備投資関連やIT関連として括ることも可能です。景気拡大の恩恵をしっかり受ける銘柄という認識もできるでしょう。
ロボット関連株というのは引き出しの多い銘柄群ですので、中長期テーマとして十分魅力を保っていると筆者は考えます。
ロボット関連株に注目する主要な投信はこれだ
では具体的にロボット関連株をテーマとしている投信を列挙します。
A. グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年決算型、年2回決算型) [日興アセットマネジメント] 純資産額合計4,813億円
B. ロボット・テクノロジー関連株ファンド“ロボテック” [大和投資信託] 純資産額1,063億円
C. ジャパン・ロボティクス株式ファンド(1年決算型、年2回決算型) [日興アセットマネジメント] 純資産額合計156億円
D. iTrustロボ [ピクテ投信投資顧問] 純資産額8億円
過去6か月のパフォーマンスを見ると、日本株に特化しているCは+14%でしたが、グローバルに投資しているA、B、Dは+23%~+28%のリターンを生んでいます。
ロボット関連株投信の主要な組み入れ銘柄をチェック
では各ファンドが開示している直近の上位組み入れ10銘柄を見ていきましょう。ロボット関連という同じテーマでくくられますが、組入れの顔触れは投資信託毎に異なっています。
A. グローバル・ロボティクス株式ファンド
ロックウェル・オートメーション、ハネウェル・インターナショナル、キーエンス(6861)、アルファベット、ファナック(6954)、インテュイティブ・サージカル、ABB、ジョンソン・コントロールズ・インターナショナル、アッサ・アブロイ、日立製作所(6501)
B. ロボット・テクノロジー関連株ファンド
アルファベット、アップル、キーエンス(6861)、アマゾン・ドット・コム、ファナック(6954)、シーメンス、NXPセミコンダクターズ、コグネックス、PTC、シスコシステムズ
C. ジャパン・ロボティクス株式ファンド
キーエンス(6861)、ソニー(6758)、日本電産(6594)、SMC(6273)、セコム(9735)、オリンパス(7733)、ダイフク(6383)、ハーモニック・ドライブ・システムズ(6324)、NTTデータ(9613)、日本セラミック(6929)
D. iTrustロボ
インテル、アルファベット、インテュイティブ・サージカル、シーメンス、NXPセミコンダクターズ、KLAテンコール、ファナック(6954)、ダッソー・システムズ、マイクロチップ・テクノロジー、キーエンス(6861)
ロボット関連株投信との付き合い方
いかがでしょうか。資本財の企業ばかりでなく、インターネットサービスや半導体関連、医療機器、ソフトなど多様な銘柄が組み入れられています。
こうした銘柄群に少額で調査の手間をかけずに投資したい方は、ここにご紹介した投信の中から一つ二つ選んで積立投資するのが一つの選択肢です。
腕に自信がある方は、ここにある個別銘柄を参考に、これはと思う企業の株式を選んで投資するのも良いでしょう。
より詳しい内容や諸費用については各運用会社のHPなどをぜひ一度ご覧ください。
椎名 則夫