「年金格差」を縮めるためにできること3つ
国民年金と厚生年金の受給額分布を見てきましたが、「年金格差」を縮めるためにはどんなことが考えられるでしょうか。
ポイント3つをご紹介します。
年収や世帯年収を上げる
厚生年金加入者は、現役時代に収入に応じた年金保険料を納めて、それが老後の年金額(報酬比例部分)に反映される仕組みです。ご自身の年収を上げることが、将来の年金額を増やす方法の一つでしょう。
また、夫婦の場合は女性も働いたり、厚生年金に加入することを検討するのも一つです。女性が厚生年金に加入することで、将来の年金額も増えるでしょう。
年金の制度を活用する
60歳までに老齢基礎年金の受給資格である10年を満たしていない方や、老齢基礎年金の受給予定額が満額に達していない方もいるでしょう。その場合、「任意加入制度」を利用することで、65歳以降に受給する年金額を満額に近づけることができます。ただし、「60歳以降も厚生年金に加入している場合」はこの任意加入はできません。
また、国民年金の第一号者(自営業やフリーランス)ならびに任意加入被保険者は、「付加年金」という制度も利用できます。国民年金保険料に上乗せして月額400円の付加保険料を納付すると、「200円×付加保険料納付月数」の付加年金が老齢基礎年金に上乗せされます。納付した保険料は2年ほどで取り戻せる制度です。
他にも、学生時代の猶予期間分を追納する制度もあります。「国民年金保険料の学生納付特例制度」を利用された方は、10年以内であれば追納することで年金額を満額に近づけることが可能ですので、ぜひ検討してみてください。
資産運用などで老後資金をコントロールする
証券会社時代のある自営業のお客様が、「国民年金だけだと老後の足しにならないから」ということで、年金保険や株式、債券、投資信託などを使って老後の資金作りをされていたのは印象的でした。
こういったスタンスは「人生100年時代」の今、国民年金の方だけではなく、厚生年金を受け取る予定の方でも求められるスタンスではないでしょうか。
資産運用というと短期間で売買する印象もありますが、老後資金の準備のためには、20~30年という長期間をかけて毎月コツコツと積立をする方も多いようです。長期間の積み立てなら、複利と時間を味方につけて、リスクを抑えながらじっくりとお金を育てていくことができます。リスクを抑えた金融商品や運用方法を選んでいくとよいでしょう。ゆとりあるセカンドライフに向けたお金の準備に、そろそろ本腰を入れてみませんか?