ひとりで生きていくと決めたとき、まず気になるのが「お金問題」です。日々の生活費はもちろん、老後もひとりで生活できるかという不安はおひとりさまには付き物でしょう。
老後の生活を支えるキホンは、年金と貯金。いま30~50代の方は、どれくらいの貯蓄を保有しているのでしょうか。また、一口におひとりさまと言っても、特に女性の場合は「未婚・離婚・死別」で年金の平均受給額も異なりますので、あわせてみていきましょう。
30代、おひとりさまの貯蓄平均は?
まずは金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和2年)」を参考に、30代のおひとりさまの貯蓄事情をながめていきましょう。
30歳代・単身世帯の貯蓄(金融資産を保有していない世帯を含む)
- 金融資産非保有:31.1%
- 200万円未満:29.3%
- 200~400万円未満:10.0%
- 400~700万円未満:11.0%
- 700~1000万円未満:5.7%
- 1000~1500万円未満:4.3%
- 1500~2000万円未満:1.6%
- 2000~3000万円未満:2.1%
- 3000万円以上:1.1%
- 無回答:3.9%
平均値:327万円 中央値:70万円
※平均値は一部の大きな金額に引きずられるため、中央値を参考にしてください。
30代はまだ収入も上がっていく最中にあるせいか、貯金200万円未満の方が約6割を占めます。貯蓄1000万円以上を保有する人は約1割。なかにはこれから結婚予定の方もある程度含まれていると考えられます。
40~50代、おひとりさまの貯蓄平均は?
次に、老後への意識が高まる40~50代の方の貯蓄事情を見ていきます。
40歳代・単身世帯の貯蓄(金融資産を保有していない世帯を含む)
- 金融資産非保有:35.5%
- 200万円未満:21.1%
- 200~400万円未満:7.9%
- 400~700万円未満:8.2%
- 700~1000万円未満:4.3%
- 1000~1500万円未満:5.5%
- 1500~2000万円未満:3.6%
- 2000~3000万円未満:2.5%
- 3000万円以上:5.7%
- 無回答:5.7%
平均値:666万円 中央値:40万円
50歳代・単身世帯の貯蓄(金融資産を保有していない世帯を含む)
- 金融資産非保有:41.0%
- 200万円未満:15.2%
- 200~400万円未満:6.8%
- 400~700万円未満:8.1%
- 700~1000万円未満:5.6%
- 1000~1500万円未満:5.3%
- 1500~2000万円未満:3.0%
- 2000~3000万円未満:4.3%
- 3000万円以上:7.6%
- 無回答:3.0%
平均値:924万円 中央値:30万円
40~50代では、貯蓄200万円未満の方が約56%。一方で、1000万円以上は40代で17.3%、50代で20.2%です。貯蓄200万円未満の方の割合は変わらない一方で、1000万円以上の方は年代が上がるにつれ増えています。
また、40代と50代で中央値は変わりませんが、平均値は約258万円ほど増えています。老後に向けて貯蓄を増やそうと意識されている方も少なくないのでしょう。
女性の「未婚・離婚・死別」別、ひと月の年金受給額は?
おひとりさまとして気になる、老後資金が足りるかどうか。2019年には、年金以外に2000万円が必要という「老後2000万円問題」も話題になりましたね。これは夫婦ふたりの資産ですが、ひとりの場合でも老後資金は心配です。
老後の生活費用について考える際、まずはじめに老後資金の柱となる、公的年金の受給額をおおよそ把握しておくといいでしょう。
公的年金には「国民年金」と「厚生年金」があり、日本の年金は2階建てといわれています。
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原則20歳以上の方が全員加入する国民年金とは違い、加入月数や収入に応じる厚生年金は差が出やすいと言われています。特に女性の場合、育児や介護で離職したり扶養内で働かれたりする方も少なくないため、年金受給額も人それぞれでしょう。
おひとりさまであっても、正社員でずっと働かれてきた方と、一度離職して離婚後にパートで働かれている方とでは、年金の受給額に差が出ると考えられます。
日本年金機構が老齢年金の受給者5万5000人に調査した「平成29年老齢年金受給者実態調査(特別集計)」から、女性の「配偶者なし世帯」の未婚・死別・離婚それぞれの年金受給額をみていきましょう。
女性の「未婚・死別・離婚」別、ひと月の平均受給額とその分布
未婚:平均受給額11万9000円
- 月額5万円未満:10.1%
- 月額5~7万円未満:15.7%
- 月額7~10万円未満:14.7%
- 月額10~15万円未満:32.5%
- 月額15~20万円未満:15.3%
- 月額20万円以上:11.3%
死別:平均受給額12万1000円
- 月額5万円未満:13.2%
- 月額5~7万円未満:12.1%
- 月額7~10万円未満:13.2%
- 月額10~15万円未満:27.3%
- 月額15~20万円未満:25.1%
- 月額20万円以上:8.7%
離婚:平均受給額8万3000円
- 月額5万円未満:21.0%
- 月額5~7万円未満:19.6%
- 月額7~10万円未満:30.3%
- 月額10~15万円未満:23.0%
- 月額15~20万円未満:4.1%
- 月額20万円以上:1.5%
未婚と死別の方は、ひと月の年金額は「月額10~15万円未満」がボリュームゾーン。一方で、離婚の方のボリュームゾーンは「月額7~10万円未満」です。離婚の方は老後資金の準備について、より考えておきたいですね。
月額7~10万円台前半では、年金のみで生活できない方が多いでしょう。年金から天引きされるものもありますし、賃貸にお住まいの方は家賃だけでも大きな金額です。また、老後に介護が必要となるとさらにまとまった金額がかかります。
ご自身の年金額については、毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」をみてみましょう。50歳未満であれば作成時点での「これまでの加入実績に応じた年金額」が、50歳上であれば「年金見込額」が記載されています。
おひとりさまが老後資金に備えるためには?
老後資金を用意するためには、足りない部分の年金額を増やしたり、貯蓄を用意したりする方法があります。
そもそも厚生年金は、パートの方であっても段々と適用が拡大されています。
パートの方の厚生年金の適用拡大の流れ
- 2016年10月~:従業員500人を超える規模の企業で、一定条件を満たす方
- 2017年4月~:従業員500人以下で労使合意に基づき申し出をする企業に所属し、一定の要件を満たす方
- 2022年10月~:従業員数100人超規模の企業、一定条件を満たす方
- 2024年10月~:従業員数50人超規模の企業で、一定の要件を満たす方
「子どもが小さくてパートしかできない」というシングルマザーの方もいらっしゃいますが、上記のような流れも考えて、厚生年金に加入できる会社でパートをするのも一つです。
他にも、個人年金保険やiDeco(個人型確定拠出年金)などで、私的年金を用意しておくと安心でしょう。自分で運用しながら年金を作るiDecoですが、運用益が非課税になるという国の後押しもあるので、はじめての方でも利用しやすくなています。
貯金することも大切ですが、ある程度まとまった貯金ができたら、資産運用を検討してみては。
たとえば毎月2万円を、年率5%で30年間で運用した場合、約1665万円になります。元本は720万円ですが、長期間でコツコツと運用することでこれだけ資産を増やすことができるのですね。
もちろん運用にはリスクがありますし、ご自身に合った金融商品や投資スタイルがあります。今は無料の動画やオンラインセミナーもあるので、時間のあるときに見てみるといいでしょう。資産運用のスキルを身につけておくと、定年後でも運用をしてお金を増やすことも可能なので、検討してみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和2年)」
- 厚生労働省年金局数理課「公的年金受給者に関する分析 ー配偶者の状況と現役時代の経歴(就労状況)からみた 年金受給状況ー」
- 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大
- 日本年金機構「令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」
宮野 茉莉子
