将来の私たちの老後生活を支える柱となる「年金」。

現役世代の中には「自分が払っている保険料分の元は取れるの?」などと不安を覚える方も少なくないはず。「厚生年金」と「国民年金」、今のシニア世代は実際にどれくらいもらっているのでしょう。直接先輩がたには聞きづらい話ですね。

今日は、厚生労働省年金局が公表する「厚生年金保険・国民年金事業年報 令和元年度」をたよりに、いまどきシニアの受給額事情を探っていきます。

年金制度の基本をおさらい!

さいしょに、年金制度のしくみに触れておきましょう。

「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」

老後に受け取る年金は加入していた年金制度によって異なります

1階部分の「国民年金(基礎年金)」は、年金制度の土台です。原則として日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入します。2階部分にあたる「厚生年金」は、国民年金に上乗せする形で、会社員や公務員が加入するものです。

図の「第1号被保険者」は、「第2号・第3号被保険者」の要件に当てはまらない人、と考えると良いでしょう。自営業・農業者・学生などと、その配偶者が対象です。

サラリーマンが受け取る「厚生年金」の月額は?

最初に、いわゆるサラリーマンとして民間企業で働いた人が受け取る厚生年金から見ていきます。

厚生年金の受給額事情

男女の平均月額の差は6万円

厚生年金保険(第1号)受給額分布

男子 平均年金月額:16万4770円(計1066万6981人)

【内訳】~5万円未満:15万977人・5万~10万円未満:97万6724人・10万~15万円未満:261万3866人
15万~20万円未満:436万9884人・20万~25万円未満:224万9128人
25万~30万円未満:28万8776人・30万円以上:1万7626人

女子 平均年金月額:10万3159円(計531万9978人)

【内訳】~5万円未満:31万5100人・5万~10万円未満:234万1321人・10万~15万円未満:218万2510人
15万~20万円未満:41万2963人・20万~25万円未満:6万3539人
25万~30万円未満:4166人・30万円以上:379人

※厚生年金保険(第1号)の年金月額には、基礎年金部分を含みます。

厚生年金保険(第1号)の平均年金月額は、男女全体で14万4268円、うち男性が16万4770円、女性が10万3159円となっています。

すでに年金受給中の世代では、男性の平均受給額が女性の平均受給額より多く、また受給者数も男性が約1067万人に対し女性が約532万人。女性は男性の半数ですね。

現役時代に、収入に応じた厚生年金保険料を納め、それが納付月数とともに老後の受給額に反映されるため、このような男女差・個人差が出るのです。

ひと昔前とくらべると「働く・稼ぐ女性」は格段に増えています。今の現役世代が老後を迎えるころには、厚生年金の男女差は縮まっていることが予想されます。