「厚生年金の財源を国民年金に振り分ける……?」
2021年9月10日、田村厚生労働大臣は記者会見で公的年金制度改革を目指す方針を示しました。
今後の日本は少子高齢化に伴い、国民年金の給付水準が大幅に低下する可能性があります。その対応策として財源の在り方を変える意向が示されたのです。
そこで今回は、厚生年金の現状について、改めておさらいしていきましょう。
厚生年金と国民年金のキホン
公的年金には国民年金と厚生年金があり、財政上でも二つの財源は分けて管理されています。
厚生年金は会社員や公務員が対象のため加入者が多く、毎月の給与から天引きで保険料が徴収されるため、財源が比較的潤沢だと言われています。
一方で、国民年金は非正規労働者の増加や加入者の減少、保険料の未納問題などを背景に、財源の基盤が弱く、このままでは将来の年金水準が大きく下がることが懸念されています。
そのため、厚生年金の財源から国民年金の財源へ資金を振り分けられるよう、財政調整をすることで国民年金の目減り分を補いたいというのが今回の制度改革の狙いです。
田村大臣は「厚生年金で所得が低い方々の所得代替率が上がるということになりますので、そういう意味では所得の再分配(の強化)のようなことが起こって、低い方々に手厚い年金に変わる」と述べています。
しかし、厚生年金も限られた財源です。厚生年金保険料を納めていない国民年金加入者にその財源を回すとなると、会社員等が本来受給できる年金額は減少する可能性はあります。
2024年の財政検証で具体的な財源配分方法を示し改正法案の提出を目指すとされていますので、今後の行方には注目したいところです。