現在の制度でも、建前としては全員が国民年金保険料を支払い、全員が老後に年金を受け取り、その半分は税金を原資とするわけですから、全国民分の年金の半分は税金が投入されることを政府は覚悟しているわけです。

さらに、金がなくて年金保険料が払えない人は、その旨の届けを出すと年金を半分受け取れる制度があるので、仮に全員がその制度を使えば、金がない人を含めて全員が年金を半分は受け取れるはずなのです。

実際には、現役時代に年金保険料を支払わず、かつ届け出の制度を知らなかったという人等がいるのですが、「その人には老後の年金を支払わずに済む」などと考えずに、予定通り払うことにすれば良いというだけの話ですね。

支給額が増える一方で、生活保護の受給者が減るメリットも

全員に年金を支給すると、生活保護の申請が減るかもしれません。国民年金の半分ということは、夫婦2人で毎月6.5万円ですから、それだけで生活するのは難しいでしょうが、他の収入等が少しでもあれば申請せずに済む人はいるはずだ、と期待しているのですが。

筆者が懸念しているのは、バブル崩壊後の長期低迷期に正社員になれずに非正規労働者として生計をたてている人が大勢いることです。

彼らの中には、国民年金保険料が払えておらず、届け出もできていない人が大勢いるはずです。そうした人は老後のための蓄えも少ないでしょうし、退職金も出ないので、老後は生活保護に頼るケースも増えてくると懸念されるわけです。

そうした事情も考えると、生活保護の受給者を少しでも減らすために最低保障年金が役立つのであれば、検討すべき選択肢なのかもしれませんね。