2021年9月10日、田村憲久厚労大臣が年金制度改革に着手する意向を発表。その中で厚生年金から国民年金へ資金をうつすことが検討されていると発言し、波紋を呼んでいます。

厚生年金をうつす理由としては、このままでは国民年金の満額が4万円強になる見込みとのこと。とはいえ、国民年金と厚生年金については、現在の平均受給額を知らない方も多いでしょう。

もともと年金のみでは老後資金が足りないといわれていますから、不安になってしまいますよね。

私はメガバンクに17年勤務し、個人のお客さまの資産コンサルティングをしてきましたが、多くのご相談内容は年金についてです。

今回は、安心した老後生活を迎える目的として、将来の年金である国民年金や厚生年金がいくらもらえるのか、現在の受給者をもとに解説します。

国民年金の受給額、平均はいくらか

まずは年金制度のおさらいをしましょう。日本の年金制度は2階建てといわれています。

自営業や専業主婦、また扶養内でパートをされている方は国民年金。会社員や公務員などは厚生年金です。

では、1階部分の国民年受給額をみていきましょう。現在の受給者状況は、厚生労働省年金局の「厚生年金保険・国民年金事業年報 令和元年度」をもとに、国民年金の男女別の年金月額階級別受給権者数を確認していきます。

(男子年金月額:総数)
~1万円未満:1万2693人・1~2万円未満:6万803人・2~3万円未満:22万1983人・3~4万円未満:70万6206人・4~5万円未満:134万5582人・5~6万円未満:312万4529人・6~7万円未満:849万4551人・7万円~:38万1323人

(女子年金月額:総数)
~1万円未満:6万6247人・1~2万円未満:24万4695人・2~3万円未満:74万63人・3~4万円未満:226万4161人・4~5万円未満:336万406人・5~6万円未満:454万1337人・6~7万円未満:598万7227人・7万円~:144万306人

全体平均年金月額は「5万5946円」です。そのうち男子は5万8866円、女子は5万3699円となっており、男女差に大差はありません。

一方で、令和3年度における国民年金満額は「月額6万5075円(年額78万900円)」です。

平均受給額は、満額よりおよそ1万円低い状況です。