老後の生活水準を具体的に考える
ここで、冒頭ご紹介した「年収約520万円で厚生年金約15万円を受けとれる」という話を思い出していただきたいと思います。
さきほど算出した厚生年金月額15万5421円を年額に換算すると、約186万円です。
これまで年収520万円の生活をしてきた人が、老後に入って突然年収186万円の生活をできるかというと、課題を感じる方も多いのではないでしょうか。
国民年金のみ受給の場合は現役中の年収に関わらず、満額の年金を受給できても年収約78万円です。
「最低限生活はできる」という方も中にはいらっしゃるかもしれませんが、慣れた生活水準を下げるというのは想像以上に難しいものです。
「老後は現役中より何割か少ない収入になる」のは年収500万円世帯に限ったことではありません。
国民年金や厚生年金だけを頼りにすると、どの年収帯であっても、老後はいまより何割か少ない年収になります。
老後はカツカツの生活ではなくゆとりをもって暮らしたいと思う方は、計画的に将来への備えを始めましょう。
参考資料
- フィデリティ・インスティテュート退職・投資教育研究所「第211回 公的年金給付額を知ることが資産形成の第一歩―ビジネスパーソン1万人アンケートより」
- 日本年金機構 令和3年4月分からの年金額等について
- 日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和3年度版)
- 国税庁 長官官房 企画課「令和元年分 民間給与実態統計調査」
- 厚生労働省年金局「令和元年度(2019年)厚生年金・国民年金事業の概況」
尾崎 絵実