定年退職後の主な収入となる年金ですが、皆さんはいくら受け取ることができるか、把握できていますか。

厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業年報 令和元年度」によると、厚生年金保険(第1号)の年金月額の平均は、全体で14万4268円です。

働き盛り世代の方から見ると、少し心許ないと感じる方もいらっしゃるかもしれません。さらにいうと、実際に老後に受け取る金額は、収入額などによって人それぞれなのです。

私は以前、生命保険会社に勤務し、数多くのお客さまからお金の相談を受けてきました。その経験もふまえ、現在のシニア世代を参考に、厚生年金の受給額に生じる「男女の格差」について見ていきたいと思います。

国民年金と厚生年金のしくみ

本題に入る前に、「年金制度のしくみ」について復習しておきましょう。

国民年金は、日本国内に住むすべての20歳から60歳の人を加入対象としています。

保険料については定額制(保険料額=基本額1万7000円×保険料改定率)をとっており、20歳から60歳の40年間すべて保険料を納付すれば「満額」(78万900円×改定率)が受け取れ、納付期間が足りない場合はその割合を満額から差引く計算方式をとっています。

一方、厚生年金は国民年金に上乗せする形で報酬比例の年金を支給する制度です。

そのため、勤務先にそもそも厚生年金の制度があるのか、どれだけの期間勤務しているか、毎月の報酬月額はいくらか、などが受給額に大きく影響する仕組みとなっています。

上記のことから、日本の年金制度は上の図のような「2階建て構造」などと呼ばれています。

では参考に、厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業年報 令和元年度」から、「国民年金」「厚生年金保険(第1号)」の年金月額を見ていきましょう。

国民年金・平均月額

全体…5万5946円(男性…5万8866円、女性…5万3699円)

前述のとおり、国民年金の年金保険料は一律で、納付した期間に応じて給付額が決定します。よって、性別や現役時代の収入額などによる金額の差はさほど大きくないことがデータからも見て取れますね。

次では厚生年金の受給額事情について深掘りしていきます。