老後2000万円あれば、ほんとうに安泰?
全体で見れば、約3割が2000万円以上の貯蓄を保有していました。2000万円あればほんとうに安泰なのか、冒頭でお話したいわゆる「老後2000万円問題」の試算経緯をみていきます。
老後資金は、65歳から95歳までの30年間の生活費とされています。その収支の過不足を試算したものが「老後2000万円」問題です。
高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無所得世帯)
- 実収入:20万9198円
- 実支出:26万3718円
毎月の収支:▲5万4520円
計算式:約5万5000円×12ヶ月×30年=1980万円(約2000万円)
ただし、この実支出の内訳に落とし穴があります。
「老後2000万円問題」の落とし穴
- 介護費は含まれていない
- 住居費は約1万4000円(持家率考慮のため)と低く見積もられている
他に介護費が必要だったり、賃貸の人はこれ以上の住居費が必要なのです。
では、介護費用の目安をみてみましょう。求める介護保険サービスによって「有料老人ホーム」や「サービス付き高齢者向け住宅」があります。
LIFULL(介護)の「老人ホームの費用相場」(2021年8月31日時点)を基に試算してみましょう。
有料老人ホーム費用
- 入居時費用:540万円
- 月額費用(入居時費用あり):23万円
- 平均介護期間:54.5ヶ月(4年7ヶ月)※生命保険文化センター調べ
合計:約1800万円
サービス付き高齢者向け住宅
- 入居時費用:19.7万円
- 月額費用(入居時費用あり):16.5万円
- 平均介護期間:54.5ヶ月(4年7ヶ月)※生命保険文化センター調べ
合計:約900万円
老後資金に介護費用を上乗せした3000万円が一旦の目安にはなるでしょう。
さらに賃貸居住者であれば、住居費は1万4000円ではなく、その差額分も加味しなければなりません。
もちろん実際の金額は住んでいる地域や生活水準によってさまざまです。一概には言えませんが、平均で見れば金融資産保有世帯であっても老後資金は十分とはいえないでしょう。