2019年に「老後2000万円問題」が話題となりました。「夫婦の老後には公的年金以外に2000万円が必要」という内容が世間の注目を集め、これをきっかけに貯蓄ペースの見直しをされた方もいらっしゃるでしょう。
そこで気になるのが老後の年金。現役時代の年金加入状況は働き方によって異なり、老後に受け取る年金額にも個人差があります。
後の収入の柱となる公的年金について、厚生労働省の資料をもとに国民年金や厚生年金の受給額、とりわけ「年金加入期間が短いケース」にフォーカスしていきます。
国民年金・厚生年金「みんなの受給額」
国民年金は40年間保険料を支払うと満額受給者となり、年約78万円(2021年度は月額6万5075円)を受け取ることができます。今の受給額分布をグラフで確認しましょう。
国民年金の平均月額
国民年金の年金月額の平均は5万5946円。男女別にみると、男性は5万8866円、女性は5万3699円です。
厚生年金保険(第1号)の平均月額
厚生年金保険(第1号)の年金月額の平均は14万4268円。ちなみに男性は16万4770円、女性は10万3159円です。
では「年金加入期間が短い場合」、受給額はどうなるでしょうか。次で触れていきます。
「年金加入期間が短い場合」老後の受給額はどうなるの?
2021年現在、国民年金を受給するためには「年金保険料を10年以上納付していること」が必要です。以前は25年でしたが、2017年8月1日より資格期間が短縮され、それまでは納付期間が不足していた人も受給が可能となりました。
では、年金加入期間が短い場合の受給額がどのくらいになりそうか、深掘りしていきます。「資格期間25年未満」のケースに絞って、国民年金のみの場合と、厚生年金保険(第1号)、それぞれの受給額を見ていきましょう。
こちらは、厚生労働省の「令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況(参考資料5)」から抜粋していきます。
【国民年金】資格期間25年未満の受給権者数
平均年金月額1万9124円 男性1万9767円・女性1万8724円
- 1万円未満:15万6695人
- 1万~2万円未満:38万3200人
- 2万~3万円未満:28万5096人
- 3万~4万円未満:9万7988人
- 4万~5万円未満:1万9855人
- 5万円以上:1345人
総数:94万4179人
【厚生年金】資格期間25年未満の場合
平均年金月額 6万842円 男性:7万875円・女性:5万7385円
受給権者数
- 1万円未満:92万1790人
- 1万~2万円未満:69万2137人
- 2万~3万円未満:59万6991人
- 3万~4万円未満:76万1779人
- 4万~5万円未満:126万3832人
- 5万~6万円未満:189万3649人
- 6万~7万円未満:268万3055人
- 7万~8万円未満:270万4845人
- 8万~9万円未満:173万1242人
- 9万~10万円未満:83万308人
- 10万円以上:67万4552人
総数:1475万4180人
国民年金25年未満受給権者の平均年金月額は1万9124円、厚生年金保険(第1号)は6万842円です。
加入年数が短い場合、国民年金のみでは月額1~3万円程度、厚生年金にも加入していた人は月額6~8万円あたりの受給額ゾーンの人が多いですね。先ほど紹介した全体の平均額よりだいぶ低くなっています。
厚生年金の受給額は、加入期間に加えて現役時代の収入が反映されますので、国民年金のみを受け取る場合とは差が出ます。
就職して厚生年金に加入している期間は、厚生年金と国民年金セットで加入し給与から天引きで保険料を納めますので、いわゆる「うっかり未納」は起こりづらいでしょう。
一方、国民年金のみに加入する期間については、未納の期間に気付けないこともあり得ます。「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」などでご自身の加入状況をチェックしておきたいものです。
保険料の免除・猶予の承認を受けている場合は、「追納が承認された月の前10年以内の免除等期間」まで後払いできます。また、厚生年金に加入できる働き方を選ぶことで、年金加入期間を伸ばしていくことも視野に入れるとよいでしょう。
自分でつくる「老後資金」を!
貯蓄や退職金、そして老後に受けとる年金は個人によって差があります。また、理想の老後も人それぞれですので、一概に「老後はいくら必要」ということは、もちろんできません。
さいごに、現役世代の私たちができることを考えてみましょう。
家計管理のスキルや、貯蓄を続ける根気は、若いころに身につけておくことで一生モノの財産です。また、ご自身の年金加入状況もしっかり把握しておきたいところ。二十歳になった時点で、老後の暮らしに向けた準備がすでにスタートしていると考えたいですね。
また、退職金や年金受給額がどのくらいになりそうかも、できるだけ早めに把握しましょう。預貯金のほかにも、つみたてNISAやiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)などを活用した資産運用を視野に入れてもよいかもしれませんね!
参考資料
- 日本年金機構「令和3年4月分からの年金額等について」
- 厚生労働省年金局「厚生年金保険・国民年金事業年報 令和元年度」e-stat統計表一覧
- 厚生労働省年金局「令和元年度「厚生年金保険・国民年金事業の概況」
【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]「用語の解説」によると、
「ゆうちょ銀行,郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構,銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金,生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式,債券,投資信託,金銭信託等の有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価,債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と,社内預金,勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいう。なお,貯蓄は世帯全体の貯蓄であり,また,個人営業世帯などの貯蓄には家計用のほか事業用も含める」とあります。


