住宅費・教育費・老後資金は、「人生の三大出費」などともいわれますね。
マイホームを購入するとき、多くの人が利用することになる住宅ローン。長い年数をかけて返済するため、人生設計がいったん狂うと、ダイレクトに影響を受けやすい部分であるともいえます。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で家計状況が激変して、その後の返済に不安を抱える人も多いでしょう。今回は、世代ごとの住宅ローン残高や、これから住宅ローンを契約する場合に知っておきたいことを見ていきます。
住宅ローンの利用者は増えている
さいしょに、国土交通省住宅局が2021年3月に公表した国土交通省住宅局「令和2年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」を見てみましょう。
「新築住宅向け新規貸出額の推移」
- 2017年度…7兆7247億円
- 2018年度…8兆6874億円
- 2019年度…9兆3519億円
「既存(中古)住宅向け新規貸出額の推移」
- 2017年度…1兆9049億円
- 2018年度…2兆1516億円
- 2019年度…2億3390億円
国土交通省住宅局「令和2年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」p12
「新築住宅の建設・購入等に係る実績」「中古住宅の購入等に係る実績」はいずれも、2017年度以降増加傾向にあります。特に新築住宅向けローンの割合が増加していますね。
世代別「住宅ローンはいくら、残ってる?」
つぎに、総務省統計局の「家計調査(貯蓄・負債編)二人以上世帯(2020年)」から、「住宅・土地のための負債」の現在高を年代別に整理します。
世帯主の年齢階級別「住宅・土地のための負債」の1世帯当たり現在高
全体平均…518万円
- 29歳以下…627万円
- 30~39歳…1253万円
- 40~49歳…1152万円
- 50~59歳…620万円
- 60~69歳…192万円
- 70歳以上…66万円
【再掲】
- 59歳未満…974万円
- 60歳以上…116万円
出所:総務省統計局「家計調査(貯蓄・負債編)二人以上世帯(2020年)」第8-5表
「住宅・土地のための負債」は30代で急激に増え、年代が上がるにつれて減っていくことがわかります。20代後半~30代前半でマイホームを購入して住宅ローンを契約する人が多いようですね。
また、59歳未満の平均残高が974万円であるのに対し、60歳以上の世帯は116万円。リタイヤ前後に完済している世帯が多いことを推測させる結果といえるでしょう。
住宅ローン「返済できなくなったら、どうなる?」
住宅ローンの返済は何十年も続きます。借りた時点では無理なく返済できる予定であっても、その後で暮らしやお金の状況が変わることは珍しくありません。
育児・介護や健康問題などで共働きを続けることが難しくなったり、収入が思うように上がらなかったり……、といった事情はどこの家庭にでも起こりうることでしょう。
住宅ローンは、その物件を担保に資金を借入れていますので、返済できなくなった場合、最悪マイホームを手放す事態に。そもそも返済が遅れた時点でペナルティの対象となり、遅延損害金が発生するだけでなく、信用情報にも傷がつきます。
収入に大きな変化が起こった場合は金融機関にできるだけ早く相談しましょう。返済計画の見直しなどの対応をしてもらえる場合もあります。
無理のない返済計画を立てる
住宅ローン破綻を防ぐためには、無理のない返済計画を立てることが何よりも大切であるといえるでしょう。
頭金なしで住宅ローンを組める場合もあります。とはいえ、頭金が準備できていれば金融機関からの借入額は少なくなるので、毎月の返済が楽になります。いつかマイホームを!と考えている場合は、頭金の準備を意識して貯蓄を進めていきたいものです。
多くのライフイベントが待ち受ける20~30代のうちは、ギリギリの返済計画を立てないよう注意が必要といえそうです。特に子育て世帯では教育費の準備と並行して住宅ローンの準備を進める必要があります。
ボーナス併用払いを選んだ場合、ボーナスが出なかった場合にたちまち返済が滞るという事態になりかねません。ボーナスを使わなくても無理なく返済を続けられるプランを選ぶほうが安心といえるでしょう。
また、住宅ローン減税が使える期間はローン残高を無理に減らさないほうが節税になる場合がある点は、ぜひ知っておきたいところです。
マイホームは「買った後」もお金がかかる!
マイホームを買うことで発生する出費は住宅ローンだけではありません。固定資産税・都市計画税、火災保険、マンションであれば管理費や修繕積立金なども発生します。駐車場代がかかる世帯もあるでしょう。
修繕・リフォーム費用が必要となることも想定しておきたいところです。子どもが異性同士のきょうだいであれば、早めに別々の個室が必要になるかもしれません。将来、老親を呼び寄せて同居する、といったケースも考えられるでしょう。
経年劣化以外の理由で「住まいの手直し」が必要となる可能性も念頭に入れておきたいですね。
また、40~50代は子どもの進学で教育資金がピークになる世帯が多い時期です。とくに高校卒業後の進学費用にはまとまった資金が必要となりますので、早いうちからコツコツと貯蓄を進めていきましょう。
老後資金も視野に入れて!
住宅ローンは定年退職前に完済することが望ましいといえますが、さきほどご紹介したデータからは、60代以降も住宅ローンが残っている世帯が一定数いることが推測できます。定年退職金で住宅ローンを一括返済するのも選択肢の一つですが、老後資金の準備具合も考慮する必要がありそうです。
購入当初はベストな選択であっても、状況に応じてその後の見直しが必要となることもあります。これはローンの組み方だけではなく、間取りや立地といったマイホームそのものの条件についてもいえることでしょう。
家族のライフイベントを長いスパンで俯瞰しながら、マイホーム計画を進めていきたいものですね。
