60代といえば、定年退職を迎え、リタイヤ後の生活を始められる人が増える時期です。仕事から解放され、ゆっくりとした時間を過ごされる方が多いのではないでしょうか。
時間に余裕も出てくるため、はじめて資産運用を検討される方もいらっしゃるでしょう。
私は以前、証券会社に20年ほど勤務しておりました。みなさんのご相談内容で多かったのが、やはり定年後の資産運用に関することです。老後資金を増やすために何をすべきか、みなさん苦心されているようでした。
そのくらい、退職金は老後生活にとって大切なお金ですよね。逆にいうと、退職金に頼らざるを得ないほど、貯蓄がうまくいっていない現状も浮かび上がってきます。
そこで今回は、その経験を踏まえ、60代以上・無職世帯のお金事情をながめた後に、「老後のお金」についてお話をさせていただきます。
「60歳以上・無職世帯」の貯蓄と負債
総務省の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2020年(令和2年)」平均結果-(二人以上の世帯)第8-4表」から、世帯主が60歳以上の無職世帯の平均貯蓄額とその内訳を見ていきましょう。
「60歳以上・無職世帯」貯蓄事情と内訳
平均貯蓄額:2308万円
〈内訳〉
- 通貨性預金:631万円(普通銀行等:487万円 郵便貯金銀行:144万円)
- 定期性預金:912万円(普通銀行等:676万円 郵便貯金銀行:235万円)
- 生命保険など:408万円
- 株式・株式投資信託:283万円
- 貸付信託・金銭信託:13万円
- 債券・公社債投資信託:52万円
- 金融機関外:8万円
60代の無職世帯の平均貯蓄額は、預貯金と預貯金以外の金融資産をあわせて2308万円となりました。
2019年、金融庁のレポートに端を発した「老後2000万円問題」から、老後資金の目標金額を2000万円と設定されたご家庭も多いでしょう。この平均額(2308万円)だけを見ると、60代・無職世帯の貯蓄額は2000万円のラインを超えていますね。
しかし負債事情もあわせて考えたいですね。次で負債事情を確認しましょう。