60歳以上・無職世帯「ほんとうの貯蓄」
引き続き、同資料より60歳以上・無職世帯の負債額を確認し、貯蓄額から負債額を差し引いた「純貯蓄額」(いわば、ほんとうの貯蓄額)についても見ていきます。
「60歳以上・無職世帯」負債事情
平均負債額:78万円
…うち住宅・土地のための負債:60万円
さきほどの平均貯蓄額の2308万円から上記の負債額78万円を差し引くと、2230万円。純貯蓄でも2000万円のラインは超えていることが分かりました。
ここでひと安心といったところですが、本当に2000万円あれば大丈夫かについて深く入り込んでみていきましょう。
「老後2000万円問題」の落とし穴
「老後2000万円問題」には落とし穴があることをご存じでしたか?
2000万円の数字ばかり先行しがちですが、その中身をしっかり把握する必要があります。そこで、金融審議会「市場ワーキング・グループ」(第21回)厚生労働省提出資料)を参考に、この「2000万円」という金額の根拠を見ていきましょう。
資料の中では、モデルケースとなる夫婦世帯の1カ月の収支について、次のような試算がなされています。
これが、「2000万円」の根拠となります。「標準的な夫婦世帯で、老後を30年とした場合、公的年金以外に2000万円ほど必要となる」いう計算式ですね。
しかし、この試算にはいくつか落とし穴があるのです。
この支出の内訳をみると、住居費が持家世帯を前提として約1万4000円に設定されていたり、ライフスタイルが考慮されていなかったり、介護費用が含まれていなかったりします。よって、2000万円という数字は「老後最低限の生活費」であると考えておく必要があるでしょう。
賃貸物件に住み続ける場合は、毎月の家賃分を上乗せして準備する必要があります。また、旅行を楽しみたい方、子どもや孫に資金援助をしたい方、介護施設をゆくゆくは検討したい方は、その分もあわせて準備する必要があります。