「イクメン」とは、厚生労働省によると「子育てを楽しみ、自分自身も成長する男性」のこと。

もし、子育てを他人事とせず、しっかりとタッグを組んで協力し合える…そんな男性が増えたら、いわゆる「ワンオペ育児」に忙殺されるママはグンと減るはず。

さらには「子育て」という言葉の裏に隠された、母親の辛さ・しんどさが軽減され、子育てにポジティブな印象を抱く人が増えるはず…。なのですが、なぜかSNSでは「イクメン」アカウントが炎上する事例が相次いでいるのです。

「子育ては大いに手を抜いて結構。しかし…」

少し前の話です。とあるパパアカウントのツイートが、ママたちの怒りを買いました。そのツイートとは「大人が手作りご飯なのに、子供がベビーフードなのはいかがなものか。大人がインスタントを食べて、子供に手作りご飯を食べさせるべき」というもの。

おそらく、彼の主張はこう。「子育ては大いに手を抜いて結構。しかし、手を抜くのは子供に関することではなく、自分に関することであるべきだ」

その一例として、自分たちのご飯がおざなりになってもいいから、子供たちにはちゃんとごはんを作ってあげなさい、というツイート。

このツイートがなぜ怒りを買うのか? その理由は単純。世のママたちは、自分はまともな食事をせずに子供の食事を作り、ちゃんと食べさせることに意識を集中させるなんて「当たり前にやっていること」だからです。

暑い夏、子供のことばかりに気を取られ、気が付くと自分が朝から水分をとっておらず、熱中症になりかけた…。

気が付くと、夕方までまともな食事を口にしていなかった…。ママならそんな経験は、一度ならずあるはず。

このように、「自分のことはさておいて」が続く日々の中の、ほんの一度や二度「今日はベビーフードにしよう!」という日があるというママがほとんどなのです。

にもかかわらず、上記のようにちょっとピント外れな発言をしてしまったアカウント主。百歩譲って、これが、子育て経験のない男性ならいざしらず、パパアカウントで発せられたツイートなのですから、「あなたは本当に子育てしているの?」と叩かれてしまったのでしょう。

「思いやり」とはいったい何か?

もう一つの事例が、「会社から疲れて帰ってきたときに、妻が激怒、子は号泣。その場合は、少し遠いコンビニに家族で歩いていって、少し高いアイスを買って、お互い今日あった嫌なことを共有するのが正解。その後一緒に家事をやろう」というツイート。

このツイートも、

  • 家事が溜まっているのに、なぜわざわざ少し遠いコンビニに行くのか
  • 子供を連れてコンビニなんて、「あれ買って、これ買ってでますます疲れる」
  • 疲れているのに、わざわざまた外へ連れ出すの?

など、さまざまな反論コメントが殺到し、炎上案件となりました。

反論コメントに対し、アカウント主は「夫も仕事から帰ってきて疲れている。でも、わざわざもう一度外に出る。そうしてお互いのことに目を向けることが大切」と返答。

それなら、せめて「わざわざコンビニに行かなくても、すぐに一緒に家事をやろう」でいいのでは?という疑問もわいてきます。

おそらくアカウント主は、自宅を出てコンビニまで歩く道すがら、外の風景に目をやりながら今日の愚痴を言えば、気持ちは晴れるはず、と推測したのかもしれません。

しかし、散歩をしたからといって、自然にちらかったおもちゃが片付くわけでもないし、溜まっている洗い物がきれいになっているわけでもない。それなら一分一秒でも早く家事を終わらせて、子供を寝かしつけてゆっくりしたい、というのがママたちの願いなのではないでしょうか。

おわりに

ママたちと「イクメン」を自称する男性の間には、「子育ての意識」に大きなギャップがある、と聞いたことがあります。イクメンは子育てを「子供の成長を見守る権利」だと捉えているのに対し、ママたちは「義務と権利のセットである」と捉えている、ということ。

つまり、ママたちは「子育ての義務を遂行しているからこそ、子育ての権利を享受できる」と考えているのです。イクメンアカウントが炎上する理由、それは子育ての「おいしいとこだけ」を持っていって、それで育児の全てをわかったかのような発言をするからかもしれませんね。

参考資料

イクメンプロジェクト ウェブサイト(厚生労働省)

大中 千景