また、貯蓄現在高の分布を二人以上世帯全体と60歳以上の世帯で比べてみると、貯蓄額が少ないグループと多いグループで差が大きいのが見て取れます。
2500万円以上の貯蓄を有する世帯では、世帯主が60歳以上の世帯が32.0%で2人以上世帯全体の22.3%を約10ポイント上回っています。逆に貯蓄が300万円未満の世帯では、60歳以上世帯は15.8%で、2人以上世帯全体の22.0%より6ポイントほど少ないという結果です(図表4参照)。
ちなみに、貯蓄現在高の中央値※は、世帯主が60歳以上の世帯が1506万円で、全世帯の1033万円の約1.5倍になっています。
※貯蓄「0」世帯を除いた世帯を貯蓄現在高の低い方から順番に並べたときに、ちょうど中央に位置する世帯の貯蓄現在高。
働けるうちはいつまでも働きたいと考える高齢者
最後は、定年退職後の就業についてです。労働力人口に占める65歳以上の割合は年々伸びており、2020年には13.4%になっています。ちなみに、10年前の2010年は8.8%でした。
また、内閣府による高齢者への意識調査で、現在収入のある仕事をしている60歳以上の人に何歳ごろまで収入を伴う仕事をしたいかと聞いたところ、約4割が「働けるうちはいつまでも」働きたいと回答。70歳くらいまでもしくはそれ以上という回答と合計すると約9割で、高齢者の就業意欲の高さがうかがえる結果となっています。
男性は60歳を境に非正規雇用が一気に増加
男女別、年齢階級別に就業状況を見ると、男性の就業者の割合は55~59歳で91.3%、60~64歳で82.6%、65~69歳で60.0%。女性は55~59歳で72.8%、60~64歳で59.7%、65~69歳で39.9%となっています。
ただし、役員を除く雇用者のうち非正規の職員・従業員の比率を見ると、男性は55~59歳で10.6%ですが、60~64歳で46.7%と、60歳を超えると一気に非正規雇用の比率が上昇。65歳を超えると約7割が非正規雇用になります(図表5参照)。